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バスケ男子日本代表、アジア杯へ!
前哨戦で見えたラマスHCのスタイル。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/08/08 11:00
橋本と戦術のコミュニケーションを取るラマスHC。お互いの考えをすり寄せることで、レベルアップを図っている段階だ。
“苦しいことを楽しむ気持ち”でディフェンスを。
また前述した通り、最も得点可能性が高いのは速攻だからこそ、そのきっかけとなる守備面も指揮官は強い意識を求めている。
練習では、守備に特化したメニューも多かった。例えば相手のターンオーバーを誘ったり、ディフェンスリバウンドを取ったら1点が入るという、守備成果によって加点されていく形式のゲームもあった。
この練習の意図について、篠山はこう話していた。
「要はしっかりとしたディフェンスをしないと、練習自体が終わらないというメニューです。ハードにやらないといけないですし、ある意味でバカになる部分も必要というか。オフェンスは冷静に状況を判断して、クールにやらないといけないと思うんですけど、ディフェンスとして大事なことの1つは、気持ちです。“苦しいことを楽しむ気持ち”みたいなものも必要だと思うので。そういう意味で、声を出して“止めるんだ”というパッション的なものをより強調していく練習だと思ってやっています」
アジアカップに向けた代表合宿は7月3日にスタートしていたが、ラマスHCは直前まで率いていたサンロレンソで国内リーグのファイナルを戦っていたため、合流したのは7月20日のこと。与えられた短い時間の中で、選手が指揮官の求めるものを表現しようとしたことは収穫だった。
「竜馬のプレーはベンチでも自然と興奮した」
初戦では目を引く1つのシーンがあった。第2クォーター残り5分36秒のシーンである。
もう1人のPGである橋本竜馬が相手の自由を奪う激しいディフェンスを見せた。相手が嫌がるようなプレッシャーをかけ、ディフェンスのお手本ともいえるようなシーンだったが、相手と接触した際に橋本はファールを取られた。
やや厳しめの判定が下った直後、ベンチに座っていた篠山は立ち上がり、Hサイドラインまで出てきて両手を何度も叩き、橋本を鼓舞していた。
この状況について、篠山はこう話している。
「竜馬がああいうディフェンスをしたら、ベンチでも自然と興奮するというか……。ああいうメンタルやハッスルプレーは本当に感動するので。あれはもう、意識しないでも出ましたね。でもそういう姿勢はもっと、もっと出していきます。ベンチでも、コートでも、僕はやっていきたい」