“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
屋久島出身初のJ1・J2選手になる!
神村学園・高橋大悟が駆け抜けた夏。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/08/08 07:00
14番を身にまとい躍動した高橋。屋久島が生んだサッカープレーヤーとして名を刻む戦いはこれからも続く。
初戦でループシュート含む2ゴールアシストの大活躍。
そして、迎えた晴れの大舞台。「楽しみしかないです。思い切り暴れ回りたいです」と、彼はこれまでの想いをぶつけるかのようにピッチで躍動した。
輝いたのは1回戦・済美戦だった。雨が降りしきり、スリッピーなピッチだったが、高橋はそれを正確なプレーを見せた。6分、上半身フェイントをかけて右サイドからカットインし、相手CBが食いついた瞬間、DFラインの裏へ正確なスルーパス。MF原田啓史の先制点をアシストした。8分、21分にも立て続けに決定的なパスでチャンスメークするなど、1人だけ高次元のプレーを見せていた。
そして27分、味方の落としたボールに走り込み、左足でダイレクトシュート。コントロールされたボールはゴール左隅に突き刺さった。
後半に入っても彼の動きのキレは落ちない。68分にはペナルティーエリア右裏へのスルーパスに反応する。飛び出したGKより一瞬早くボールキープすると、鋭く反転してループシュート。ボールは綺麗な放物線を描いて、ゴール左隅に吸い込まれた。
高橋が見せた2ゴール1アシスト。済美を4-1を下して、初戦突破を果たす原動力となった。続く2回戦の関東第一戦では先制弾を決めたが、2-4の逆転負け。ここで彼のインターハイは幕を閉じたが、屋久島出身のタレント候補は、確かに全国で爪痕を残した。
「いつもと違う景色を見ることの重要性を感じた」
「もっとやらなければいけないことが多いと痛感しました。個人のスキルでは負けていなかったけど、グループワークだったり、オフ・ザ・ボールの動きに課題を感じた。もっとボールの引き出し方、どんな状況でも自分のボールフィーリングを発揮して、周りを活かしながら前に行く。もっとゴールに近づくバリエーションを増やしたい。それ以上にこういう経験が出来る全国にもっと出たいと思ったし、いつもと違う景色を見ることの重要性を感じた」
高校初の全国で得るものは数多くあり、より全国に出たい、より広い世界を見たいという欲望が生まれた。彼がその心を満たすためには、4年ぶりの選手権出場と屋久島出身で2人目となるJリーガーになるほかない。
そして後者については、もう実現する手前まで来ている。