藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
欧州クラブは日本人選手のここを見る。
藤田俊哉が考える海外移籍の核心。
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byToshiya Fujita
posted2017/07/27 11:30
藤田俊哉氏が加入したリーズ・ユナイテッドは、1991-92シーズンにはプレミアを制した名門。順調なステップアップと言えるだろう。
U-20W杯以降、堂安律への注目はとても高かった。
オランダにはこの流れが特に強く、ガンバ大阪の堂安律選手のフローニンゲン移籍にもつながった。韓国で開催されたU-20W杯での彼の活躍後には、オランダのコーチ仲間やエージェントから私にも問合せがあったほど、彼は注目されていた。
訊かれたのは、日本での評価は? 性格は? 語学力は? これまでどのような環境でプレーしてきたか? などなど。実際にいくつかのオファーがあるという話も聞いていた。彼のように、ゴール前で決定的な仕事ができる左利きの選手は特に評価が高い。アジリティ能力が高く、ターンの切れ味が鋭く、シュートが上手い点も、特にポジティブな要因に挙げられる。
もっとも、選手の評価に関する話は日常的に行われているので、堂安選手の移籍についても契約に至るのはそんなに簡単ではないと考えていた。だが実際は、想像以上に話が早くまとまったようだ。
正直に言って、このスピード感には驚いた。もちろんヨーロッパのクラブは選手獲得の知識や経験が豊富である。彼らのネットワークは世界中(特にヨーロッパ内)のいたる所に張り巡らされていて、急な案件でもその場で対処することが可能だ。エージェントがプライベートジェットで移動して契約をまとめることもある。
すでに契約を結んでいる選手であっても、シーズン中に契約期間の変更や内容の見直しを図ろうとエージェントはいつも動いている。常に連絡が取れる状態を保っており、携帯電話やメールのリターンはとにかく速い。そのような仕事の進め方を間近でみて、いまの欧州のスピード感を知ることができた。
ヨーロッパ中で、日本人選手についての質問攻めに。
このオフを利用し、短期間ではあったがスペイン、イタリア、イングランドを旅して回った。その途中で知り合ったサッカー関係者からは、何人もの日本人若手選手について質問を受けた。
「可能性を秘めた若手がたくさん日本にいる!」と彼らは評価していた。彼ら若手選手たちには国内外でサッカーを経験し、確実に成長して日本サッカーやJリーグのレベルをより高いものに押し上げてもらいたい。