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県立高校に140km投手が5人も!?
三重でも感じた「複数投手制」の波。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byKyodo News

posted2017/07/25 07:00

県立高校に140km投手が5人も!?三重でも感じた「複数投手制」の波。<Number Web> photograph by Kyodo News

大阪桐蔭も、複数の投手を擁して甲子園を目指している。徳山壮磨というエースがいても、2人目以降を育てる努力は怠らない。

今年は例年以上に複数投手制の学校が目立つ。

 この菰野高をはじめ、今年は複数の有力投手を備えている強豪校が目立つ。昨年夏の甲子園優勝校、作新学院には篠原聖弥(3年)、大関秀太郎(3年)、高山陽成(2年)、センバツ出場校の前橋育英高には皆川喬涼(3年)、丸山和郁(3年)、根岸崇裕(3年)、花咲徳栄高には清水達也(3年)、綱脇慧(3年)、野村佑希(2年)が揃い、日大三高はともにストレートの最速が150キロに迫る左腕の櫻井周斗(3年)、金成麗生(3年)がいる。

 センバツ優勝校の大阪桐蔭高は3人どころではない。高校生トップランクの徳山壮磨(3年)を筆頭に、センバツで注目を集めた柿木蓮(2年)、横川凱(2年)、香川麗爾(3年)、中学時代すでに最速146キロを計測し、現在は148キロにまで達している根尾昂(2年)など5人の主戦級を揃えている。秀岳館高の両左腕、川端健斗(3年)、田浦文丸(3年)も強烈な陣容である。

県立高校に有力投手が5人も揃う理由。

 菰野高に話を戻すと、同校は県立高校である。私立にくらべて有力な中学生の獲得にはハンディがあるが、同校OBの西勇輝(オリックス)を見てもわかるように、指導者の育成力には信用が置ける。

 さらに今夏の戦い方を見れば、1人の“エース”に偏らない起用法もわかる。複数の投手を揃えようとするなら、ある程度は複数の投手に登板機会を与えるべきで、それによって投手陣全体の成熟度が低下しても、複数の勢いで押し込んでいく、そういう戦い方の覚悟がこれからの指導者には求められると思う。

 県立高校でありながら菰野高からプロ野球選手が輩出され、今夏も有力な投手が5人揃うのが私にはよく理解できる。

 大阪大会の序盤戦を3日間見て、無名校に好投手が多いのにも驚かされた。大阪の中学生球児のレベルの高さ、そして彼らが伝道師のように北海道、東北、四国などに野球留学し、その地域の野球レベルを押し上げていることは広く知れ渡っているが、彼らほど有名でなく、なおかつ地元でも有力校ではなく無名校にとどまって腕を上げた投手がいる。

【次ページ】 大阪屈指の進学校にも期待度の高い投手が。

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