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名波監督が築く鉄壁のジュビロ。
モデルは'98年W杯フランスにあり!
posted2017/07/19 11:30
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
勢いが、止まらない。
ジュビロ磐田のことだ。中断前のJ1リーグ戦で甲府を破り、5連勝を達成。直近の6試合で1つも負けがない。しかも、この間にG大阪、浦和、FC東京といった有力クラブを次々と撃破。フロックとは言い難い試合内容の充実ぶりが際立っている。順位の方もじりじりと上げて、現在(18節終了時点)は7位にランク。それでもトップを走るC大阪との勝ち点差がわずか7ポイントという混戦模様なのだ。この先、十分に上位へ食い込めるポジションにつけていると言っていい。
それにしても、破竹の勢いは、どこから来ているのか。
要因を探っていけば、名波浩監督の情理を尽くしたマネジメントの妙に突き当たる。その中から、今回は緻密な戦術面にスポットを当ててみたい。というのも、ジュビロ最大の強みがよく訓練されたディフェンス組織にあるからだ。それは数字にも表れている。失点15は横浜FMと並ぶJ1最少。1試合平均にすれば「0.83」だから、1点取れば最低でも勝ち点1を拾える計算だ。ここ6試合で実に5試合がクリーンシート(無失点)という手堅さ。まさに難攻不落の要塞と化している。
鉄の三原則は「縦ズレ」「横ズレ」「中締め」。
システムは3-4-2-1。7節の鳥栖戦を境に当初の4-2-3-1から3バックへシフトしている。名波監督の掲げる鉄の三原則が「縦ズレ」「横ズレ」「中締め」だ。
それぞれの表現を、このように言い換えてもいい。
(1)3ラインの上下動
(2)ボールサイドへ寄せるブロックのスライド
(3)バイタルエリアの封鎖
その1つひとつに目新しさはないものの、ブロックを構成する10人が3つの作業をシンクロさせながら、一体の生き物のように動くのだ。そのオートマティズムのレベルがきわめて高い。