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大学No.1GK、日本人守護神に警鐘!?
卒論に選んだのは「韓国人GK論」。
posted2017/07/24 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
来季、セレッソ大阪に入団が内定している、福岡大学のGK永石拓海。
191cm、86kgという恵まれた体格を活かしたセービングと、ハイボールの強さに加え、敏捷性も高く、至近距離からのシュートストップにも定評がある大学ナンバーワンGKだ。
彼はプレーしながら、来年自らが進むJリーグで起こっている「ある現象」に危機感を抱き、学術的に取り組もうとしている。
「日本人GKの危機だと思っています」
現在、Jリーグは空前の「韓国人GKブーム」にある。
J1、2を含めて11人もの韓国人GKが在籍し、そのうちJ1には7人も在籍している。さらに言うと、その7人のうちキム・ジンヒョン(C大阪)、クォン・スンテ(鹿島、現在は負傷離脱中)、チョン・ソンリョン(川崎)、キム・スンギュ(神戸)、ク・ソンユン(札幌)の5人がレギュラーの座を掴んでいる。
昨年はJ1で戦っていたアビスパ福岡のGKはイ・ボムヨン(現・江原FC、韓国)だったが、彼も含めると韓国代表経験のあるGKが実に5人(キム・ジンヒョン、クォン・スンテ、チョン・ソンリョン、キム・スンギュ)もいたことになる。
まさにJリーグは韓国人GKが躍動する場所となっているのである。
より増えていく可能性がある、Jの韓国人GK。
それ自体、悪いことではない。実際に彼らのクオリティーは非常に高いからだ。
韓国人GKの特徴として、日本人よりもフィジカルや高さに優れ、パワフルなプレーを得意とする、というものがある。
シュートストップ1つをとってもその特徴は明確だ。相手がジャストミートしたシュートを放ったとしても、力でねじ伏せられる強力なパワーで防げる選手が多い。またGKとしての気質面でも、闘争本能を前面に出しつつも、緊急時にも冷静に対処できるという両面性を持っており、失点直後の「リバウンドメンタリティー」も日本のGKよりも優れているとされている。さらにJリーグの場合は「アジア枠」で他の外国人枠とは異なる戦力としての計算もできる、という利点がある。
こうした複数の理由から、多くのJクラブのスカウトが、クラブの補強ポイントとして「韓国人GK」の動向を優先的に追い続けており、特にリーグの規約が変わらなければ今後もさらに増えていく可能性がある。
Jリーグでプレーしている日本人GKのほとんどが、この現象に危機感を抱いているはずだ。
そこで、これからJリーグに入ろうとする永石は大学生である立場を活かして、ある変わった取り組みを始めたのだ。