バレーボールPRESSBACK NUMBER
高さ以前に、日本は技術が足りない。
中田久美が開始したバレー観の革命。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2017/07/04 11:00
5月下旬の記者会見では「スピード、正確性、連携、けた外れの集中力、世界に負けない強さ」を強化ポイントに挙げていた。
ワールドグランプリは、東京五輪へのスタート。
2020年の東京五輪がゴールならば、スタートは7月7日に開幕するワールドグランプリ。中田監督が描き、理想と掲げるバレーボールがどれだけ「対世界」で勝負できるのか。特に国内での初陣となる7月14日から仙台で行われるタイ、セルビア、ブラジルとの3連戦は、その試金石となるはずだ。
来るべき戦いに向けて、中田監督が言った。
「目標はオリンピックでメダルを獲ることだけど、それは目的じゃない。世界と戦うために何が必要で、私たちは何のために戦うのか。まずはそこを明確にしなきゃいけないですよね。1+1が2では足りないから。足し算ではなく、掛け算になるまではまだまだ年単位で時間がかかると思うけれど、何を燃料とし、どうやって燃やせばいいか。日々考えます」
始まる前から「それは無理だ」と否定ばかりしていたら、何も変わらない。たとえ今は10%の可能性でも、それをいかに100%へ近づけることができるか。
新たな挑戦の始まり。困難で、高い壁だからこそやりがいがある。
「いい試合、面白い戦いになると思うんですよ」
笑顔の奥で、勝負師の目が輝いた。