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日本バドミントン強化の立役者。
朴柱奉コーチ「東京でも金メダル」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTadashi Shirasawa
posted2017/06/19 08:00
日本に渡ってから数多くの選手の才能を開花させてきた朴コーチ。東京五輪の舞台でも、その力は必要だ。
オグシオ、スエマエ、フジカキと実績を残した。
一方で、選手たちは朴流の練習をこなしながら、少しずつ実力が上がっていることを実感していた。ナショナル合宿に来れば、種目別の専門コーチがいる。トレーナーが常駐しているので、体のケアもできる。栄養士の指導を受けながら、アスリートに最適な食事を摂ることもできる。
日本勢は大会に出るたびに成績を上げていった。それまで0-2で完敗していた相手に、ギリギリの0-2、1-2負けと差を詰めていった。そして、それがさらなるモチベーションにつながった。
目に見える結果が最も早く出始めたのは女子ダブルスだ。オグシオ(小椋久美子&潮田玲子組)ブームに沸いた'08年北京五輪ではスエマエ(末綱聡子&前田美順組)が準決勝進出。メダルまであと一歩と迫った。
4年後の'12年ロンドン五輪で、フジカキ(藤井瑞希&垣岩令佳組)が日本バドミントン界初の銀メダルを獲得。昨夏のリオ五輪ではタカマツが金メダルに上り詰め、奥原希望もシングルス勢初の銅メダルに輝いた。男子ダブルスと混合ダブルス、女子シングルスの山口茜も5位入賞と健闘した。
高校生からともに歩んだタカマツと五輪連覇を狙う。
来日してからの12年間で、想像以上の成長を遂げたのがタカマツだったという。
「2人が初めてナショナルに来たのは高校生のとき。当時はオグシオがいて、スエマエやフジカキもいたので、彼女たちはナショナルでは5番手くらいでした。最初は若いからとりあえず呼んだのです。金メダルまで行くとは思いませんでした」
東京でタカマツが挑む「五輪連覇」という目標はとてつもなくハードルが高い。だが、朴には勝算がある。スピードやパワーで中国や韓国、デンマークを上回ることは難しいが、さらに成長が期待できる部分があると確信しているからだ。
「タカマツの良さは、ローテーションのうまさとミスが少ないこと。ラリーポイント制ではミスが相手の得点になるので、ミスの少なさが重要なのです。きれいなポイントは中韓のペアよりも少ないですが、ネットプレーのスピードアップとサイドでのポイント奪取で、もっと向上できます」