サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
4年前も、予選のラストで失敗した。
イラク戦の結果はW杯に直接響く。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAsami Enomoto
posted2017/06/12 12:30
シュートの瞬間、全身の力がボール1点に伝わる。原口元気は、やはり得点の匂いがする選手だ。
予選をテストに使える、という権利は大きい。
1つ目の理由として、あの試合で予選突破が決まらなかったことで、その後の強化に影響が出たからだ。
そのあとの日本は各国のリーグ戦をはさんでから、6月4日のホームでのオーストラリア戦に引き分けて予選突破を決めた。直後に中立地のカタールでイランとの予選最終戦を戦い、休む暇なくコンフェデレーションズカップに臨んだ。
過酷な日程について、当時のザッケローニ監督は予選との近さをなげいていた。しかしヨルダン戦で突破を決めていれば、コンフェデ前の2試合をテストや調整の場に出来ていたのだ。
ブラジルW杯出場を決めたオーストラリア戦が、本田圭佑のPKでビハインドを打ち消したドラマチックな展開だったために、あまり語られずに終わった現実だ。
アジアでも試していないパワープレーを……。
そしてもうひとつが、ブラジルW杯で露呈した“あの問題”だった。
最終予選ヨルダン戦、1-2でリードを許していたが、引き分けでも予選突破が決まる状況。しかし、日本はパワープレーを選択しなかった。
この予選のあと、キャプテンの長谷部誠はその理由について、証言していた。
「そこについては、コミュニケーションがとれています。試合の途中でザッケローニ監督と、(吉田)麻也をあげるのか、あげないのかを話した上で、上げなかった。負けていてパワープレーというのは、監督の選択肢として、あまりないんです」
しかし、ブラジルW杯本番では、リードを許した終盤にパワープレーを仕掛けた試合があった。パワープレー自体が良いかどうか、という議論にあまり意味は無い。当時のメンバーからも、パワープレーの選択を批判されるのは間違っている、という証言も出ている。
では、何が問題なのか。
ブラジルW杯だけを見れば、パワープレーを選択したことは間違っていない。もちろん長谷部の証言は、その内容を含めて批判されるべきものではない。
ただ、チームの方針がぶれてしまった。それこそが、問題だった。
アジアのチーム相手にさえ試さなかったことを、W杯で力のあるチーム相手に試しても、上手くいくわけがないのだ。