サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
4年前も、予選のラストで失敗した。
イラク戦の結果はW杯に直接響く。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAsami Enomoto
posted2017/06/12 12:30
シュートの瞬間、全身の力がボール1点に伝わる。原口元気は、やはり得点の匂いがする選手だ。
シリア戦は調子が悪くて良かった?
シリア戦は親善試合だった。大切なのは、イラクとの最終予選で最高のパフォーマンスを出すためのステップにすることだ。
だから、原口のこんな言葉が説得力を帯びてくる。
「次が本当の大一番。シリア戦が悪くて良かったというわけではないですけど、一昨年は(親善試合の)イラク戦で良くて、(直後のW杯2次予選の)シンガポール戦で引き分けた。去年も(キリンカップ準決勝の)ブルガリアに大勝して、(決勝で)ボスニアに負けるという流れだったので。次に勝てれば、それが一番良い終わり方。良い形で締めくくらないといけないですね、この1年を」
勝って締めくくる、というのはヨーロッパでプレーする選手たちが、この試合をもってオフに入るからだ。
「今さらネガティブなことはないですし。ポジティブに、ポジティブに、チーム全員でやっていければいいなと思いますけど」
試合後には、原口とまるで示し合わせたかのように、酒井もそう口にしていた。ピッチの上では最高の形を見せられなかったが、チームが同じ方向をむいている事実は見逃せない。
4年前も、日本代表は今と同じ分岐点に立っていた。
そして――。
イラク戦には、勝って終わらないといけない理由がある。
4年前の予選を思い出して欲しい。史上初めてホームゲームでW杯出場を決めた日本代表にとって、悔やまれる一戦がある。それが今回と同じく、最終予選の残り3試合で迎えた一戦。ヨルダンとのアウェーゲームだった。
引き分けでも予選突破が決まる状況で、本田圭佑と長友佑都を欠いたなか、相手に2点をリードされる苦しい展開だった。それでも香川真司のファインゴールで1点を返し、PKも獲得した。しかし遠藤保仁のPKは決まらず、この試合は1-2で敗れて予選突破がお預けとなったのだ。
なぜ、あの試合が悔やまれるのか。