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4年前も、予選のラストで失敗した。
イラク戦の結果はW杯に直接響く。

posted2017/06/12 12:30

 
4年前も、予選のラストで失敗した。イラク戦の結果はW杯に直接響く。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

シュートの瞬間、全身の力がボール1点に伝わる。原口元気は、やはり得点の匂いがする選手だ。

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph by

Asami Enomoto

 勝たないといけない。

 そう語られるべきイラクとの一戦を前に、原口元気が発した言葉は、チームの現状を表すものだった。

 その言葉に触れる前に、状況を振り返ってみる。

 6月7日。1-1で引き分けたシリア戦で、日本代表は攻守それぞれで問題を露呈してしまった。

 守備では、良い形でボールを奪えなかった。

「バラバラになっていたわけではないので。意識の統一は出来ていました」

 原口はそう話した上で、一段階上の守備が出来なかったことを課題に挙げた。

「(FW、MF、DFと)3つのブロックのゾーンがあると思うんですけど、話し合いながらやろうということで、最初は前から奪いに行こうとしていました。でも、何回かはがされてしまったので、奪いに行くところが上手く決まらなかったのが、守備が上手くいかなかった理由かなと思います。

 僕としては前から行きたかった部分はあるんですけど、チームとしては少し引きながら、という感じが続いたので。この試合が予選じゃなくて良かったなというか……」

 高い位置でボールを奪えれば、良い形で攻撃に移れる。しかしハリルホジッチ監督は、試合によってはDFラインをさげ、相手を攻めさせることで相手陣内にスペースを作るように指示することもある。

 ただ、この試合は親善試合ということもあり、狙いがあいまいなままで入ってしまい、ピッチの上で有効な解決策を見つけられなかった。

誰かというよりも、意思統一に問題があった。

 右サイドバックでフル出場した酒井宏樹の発言からも課題が浮かび上がってくる。

「高い位置からプレスをかけようという指示で入っていましたけど、僕らは試合の状況によって判断しないといけない。どこからプレッシャーをかけるのか、ピッチの中で迷っていたかなという気がします」

 酒井は、そこから攻撃面についても言及した。

「攻撃のビルドアップでも、FWの選手からは、もうちょっと上がってきてほしいという声もありました。そういうところで、僕ら(守備的なポジションの選手)もしっかり合わせていけたら、という思いはありましたね」

 守備のラインが下がってしまったため、マイボールで前線の選手が出て行ったときに、最終ラインを上げきれなかった。そのため、攻撃の厚みや連続性が失われた。どこかのポジション、あるいは特定の選手が問題を抱えていたというよりも、チームとしてどう戦うべきかの判断に問題があったということだ。

【次ページ】 原口元気は「ああいうシュートを決める選手が日本代表」

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