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トップ下・山村和也がなぜ機能する?
福西崇史が解説するその「最適さ」。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/05/23 17:00
プレースタイルの変化ももちろんのこと、顔つきも精悍になった山村和也。苦しかったキャリアも、この時のためにあったのだ。
運動量、という武器は変わっていない。
また山村は186cmと高さもある。ゴールキックや最終ラインからのロングボールでの競り合いも、試合を通じて地味ながら効いていた。空中戦で優位に立つことで、高い位置で柿谷や清武がセカンドボールを回収する。そして球際で戦うだけでなく、空中のボールをバックヒールで杉本に流すような意外性のあるプレーも仕掛けてくる。相手として絞りづらいのは間違いない。
ここで再び、福西氏の解説だ。
「山村は、ボランチからトップ下にポジションが変わってもストロングポイントは変わっていないでしょ? 彼は以前から運動量があるタイプだった。その運動量を活かして周囲と連動することで、味方の良さを引き出しているのは間違いない」
相手ボランチ、CBの嫌がることが直感的にわかる。
そして山村のような選手をトップ下で起用するメリットはもうひとつある、とも福西氏は話していた。
「ボランチの選手をトップ下に使うメリットはもうひとつあるよ。トップ下とマッチアップする相手はボランチになるよね。オレもそうだけど、ボランチをやっていたからこそ“トップ下として、こんな動き方をすれば相手ボランチが嫌がる”というプレーを知っている。だからトップ下に入った時にその動きを実践すればいいんだ」
この話を聞いたからこそ、興味深かったのは山村の考え方である。ボランチからトップ下にコンバートされた中で、今までの経験がどう生きているかを聞くと福西氏と似た表現を口にした。
「僕はボランチだけでなくセンターバックもやっていました。だからこそ相手センターバックにとって嫌なところだったりは、僕自身も分かっているので、そこをつけるようにしたいなと思っています」
山村はこれまでのキャリアでボランチ、センターバック両方で起用されてきた。そこで盤石のレギュラーの座を築き上げたわけではなかったが、各ポジションでの経験を活かすことで相手最終ライン、そしてボランチとの駆け引きでも優位に立っているのだ。