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トップ下・山村和也がなぜ機能する?
福西崇史が解説するその「最適さ」。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/05/23 17:00
プレースタイルの変化ももちろんのこと、顔つきも精悍になった山村和也。苦しかったキャリアも、この時のためにあったのだ。
福西崇史が語る、トップ下とボランチ選手のシナジー。
端的に説明すると、動き回りつつ、身体の強さを活かして攻撃を活性化させる、という仕事だ。
例えば56分には清武からのラストパスを受けてシュートに持ち込んだり、クロスに飛び込むシーンでは杉本との2トップのような形になる場合もあった。この日放ったシュート本数は2本。ただフィニッシュ以上に運動量が素晴らしく、この試合での走行距離は82分の途中交代ながら10.56km。スプリント回数でもチーム2位タイの21回をマークしている。
筆者は以前、解説者の福西崇史氏に、山村の活躍ぶりを受けて「ボランチの選手がトップ下をやるメリット」について聞いたことがある。福西氏といえば本来のポジションはボランチだったが、ジュビロ磐田、またFC東京時代にはトップ下で起用されたこともあるからだ。
「トップ下に入った時、もちろんボランチの時よりも得点を取りに行く、という意識を強めたのはある。ただそれと同時に“攻撃面でどういった動きをすれば、もっとチャンスを作れるか”ということを意識していたよ。ボランチでプレーする時より、距離感が近いところに中山(雅史)さん達といった攻撃的な選手がいたからね。オレの場合は身体の強さが特徴だったから、キープすることで周囲のために時間を作ったりね」
山村が動いたスペースに、柿谷と清武が入ってくる。
大宮戦を見ていると福西氏の言葉通り、山村のトップ下は攻撃面で多大な影響力を発揮していると感じるシーンがあった。
両サイド、もしくは相手最終ライン裏に山村が走りこむことでトップ下のポジションにスペースが生まれる。そこに入り込んでくるのは、C大阪が誇る両サイドのテクニシャンだ。大宮守備陣のバランスがズレたところに柿谷、清武のいずれかが入り込み、柿谷のパスを起点としたサイドからのクロス、フリーで受けた清武のミドルシュートなど多彩な攻撃が生まれていた。
「今日は最終ライン裏も取りたいなと思って、前半から狙っていました。バイタルエリアのスペースが空く、という状況を作れたのは良かったと思います。ボールをもらうときは、ボランチの視点で“ここにボールを出したいだろうな”というタイミングで入ることは常に考えています」
試合後、山村はこう語っていた。