話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
攻撃一辺倒のサッカーに「あれっ」。
遠藤航が浦和の現実路線を語る。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/04/20 08:00
第7節終了時点で首位に浮上した浦和。1試合平均3得点の攻撃力と同時に、守備面でも平均失点を1に抑えている。
チームに変化を加えても改善されない状況で……。
それもあってか後半、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督がビルドアップに変更を加えていた。前半はボランチの阿部勇樹と柏木陽介のいずれかが最終ラインまで下がってプレーしていたが、最終ラインの3人だけでボールを回すように指示。さらに関根貴大を投入して攻撃のリズムを変えようとしたものの、劇的な改善には至らなかった。相手に押される展開が続き、我慢の時間が長くなった。
この状況で、どうやって戦うのか。
今までの浦和ならば、それでも点を取りに少々無理してでも前掛かりになっていただろう。前述したマリノス戦もそうだった。
だが、今回は違った。
「守ろうと割り切りました」
遠藤はそう言った。関根と宇賀神友弥の両ウイングバックが下がり、5バックを形成する。武藤雄樹、興梠慎三の2シャドーが相手サイドバックをケアする布陣にした。
「いい攻撃、崩しをして勝つ」だけではなくて。
「前の選手は点を取るのが仕事だし、点を取りたいと思っているので、できるだけ前の選手に負担をかけないような守備の仕方というのを考えています。ただ今日の試合のように割り切って守る時は、前の選手にも守備をがんばってもらう。前の選手も最近、それを理解してやってくれるようになっているんで、それが今日はできたかなと思います。こういう試合で勝ち点3を取ることが大事ですし、みんな現実的なところを見られるようになってきたんだと思います」
遠藤いわくペトロヴィッチ監督は、「いい攻撃をして、いい崩しをして勝つ」ことを追求し、常に攻撃的なサッカーを貫くことを掲げてきた。その一方、試合中に守備ブロックを作って守ることについて、事細かに言うことはないという。そのため、どう折り合いをつけて守るべきなのかという判断が難しく、決断を躊躇しがちだったが、マリノス戦に敗れて目が覚めた。
攻めているだけじゃ、勝てない。