サムライブルーの原材料BACK NUMBER
細貝萌、絆創膏に秘めていた決意。
柏加入はJ復帰ではなく「挑戦」。
posted2017/04/16 08:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
細貝萌の手のひらに、小さな絆創膏が貼られてあった。
帰国からまだ1週間も経っていない。7年ぶりにJリーグに復帰し、柏レイソルの一員となった彼は筆者の視線を感じたのか、苦笑いを浮かべながら手を広げた。
「これですか? ちょっと発疹が出ているんですよ。おそらく“また”ストレス性によるものだと思うんですけど、移籍を考えるタイミングで出てきたんです」
“また”
発疹の話はヘルタ・ベルリン時代にも聞いたことがある。好調ながらもベンチ外が続き、ストレス性発疹を発症して1週間の入院を強いられた過去。チームメイトも「どうしてお前がベンチにも入らないんだ」と言ってくるほど周囲の目にも理不尽と映っていた。
その後も“飼い殺し状態”に変わりはなく、我慢強い彼がストレスを溜めれば症状が肌に表れるようになった。トルコのブルサスポルに渡ってからも、環境を変えてストレスを抱えた際に出ていた。そして今回も――。
「シュツットガルトでドイツは最後にする」の真意。
「シュツットガルトでドイツのクラブは最後にしようと思っていました。それは妻にも伝えていたんです」
細貝は今季、トルコのブルサスポルから恩師ヨス・ルフカイ監督率いるドイツ2部シュツットガルトに移籍した。ドイツではレバークーゼン、アウクスブルク、ヘルタに続いて4クラブ目。
「最後にする」は、シュツットガルトで活躍してみせるという誓いでもあった。