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「大谷世代」と本塁打の量産。
大リーグに増える早熟の強打者。 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byNanae Suzuki

posted2017/04/15 08:00

「大谷世代」と本塁打の量産。大リーグに増える早熟の強打者。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷の才能は国内外の誰もが疑わないところ。まずはコンディションを万全にすることが、現状の最優先事項である。

Aロッドらを筆頭に2000年シーズンも若手が爆発。

 つぎに若手の爆発が顕著だったのは、2000年のシーズンだったと思う。ステロイドの影響で本塁打が量産された時代(この年全体では史上最多の5693本)という限定条件はつくものの、トロイ・グロース(23歳。47本)、ヴラディミール・ゲレロ(25歳。44本)、リチャード・ヒダルゴ(24歳。44本)、アレックス・ロドリゲス(24歳。41本)、アンドルー・ジョーンズ(22歳。36本)らが暴れた年だ。年間73本塁打という冗談のような記録をボンズが残したのは、翌'01年のことだった。

 このあと、若手の集団爆発はしばらく鳴りを潜める。薬物禁止が強化され、投高打低の時代がつづいたこともあって、本塁打数はずいぶん減った。ことに'07年以降は、本塁打総数が5000本の大台を滅多に超えなくなる。そんななか、やや地味だったとはいえ、'08年には、久々に若手の長距離砲が台頭した。ライアン・ブラウン(24歳。37本)、ミゲル・カブレラ(24歳。37本)、カルロス・クエンティン(25歳。36本)、プリンス・フィルダー(23歳。34本)、ハンリー・ラミレス(24歳。33本)といった面々の出現である。

本塁打総数が史上第2位の5610本に達している。

 という具合に回顧してみても、昨'16年の若手爆発は、'88年以来の大規模なものだったことがわかる。なにしろ、本塁打総数が、史上第2位の5610本に達している。

 ア・リーグのリーダー格は、マーク・トランボやネルソン・クルーズといった中堅選手だったが、ナ・リーグではアレナード(25歳。41本)とブライアント(24歳。39本)が王座を争った。さらには、マチャド(23歳。37本)、オドーア(22歳。33本)、ベッツ(23歳。31本)、ヤスマニー・トーマス(25歳。31本)らが着々と本数を伸ばしている。

 '16年は29本に終わったトラウト(24歳)や、24本止まりだったハーパー(23歳)も、今季は巻き返してくるだろうし、C・シーガー(21歳。26本)やジョナサン・スコープ(24歳。25本)にはまだまだ伸びしろが感じられる。そして、ア・リーグ新人王最有力候補のアンドルー・ベニンテンディ(22歳。レッドソックス)も、どんな化け方をするか興味深い。いいかえれば、今季の大リーグは、昨年につづいてパワーヒッターの大量出現時代を迎えようとしている。

 大谷翔平は、そんな彼らの間に割って入って、どのような活躍を見せられるだろうか。二刀流を貫くのか。打者としてパワーヒッターの一員となるのか。あるいは、貴重な抵抗勢力としてマウンドに立ちはだかるのか。彼の将来を占う意味でも、大リーグの潮流変化は注意深く観察していきたい。

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