スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
「大谷世代」と本塁打の量産。
大リーグに増える早熟の強打者。
posted2017/04/15 08:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Nanae Suzuki
太腿の肉離れを起こしたり、インフルエンザに感染したり、大谷翔平が災難に遭っている。あれほどの天才なのだから、身体には十分に気をつけてもらいたいが、気をつけていても故障するのが肉体という壊れ物だ。ここは逸る気持を抑え、治療に専念するのが大切だろう。
そんなさなか、スポーツ・イラストレイテッド誌に《日本のベーブ・ルースが野球に革命を起こそうとしている》という記事が出た。寮暮らしで生活費は月1000ドルだとか、来季は大リーグ参戦だとか、ア・リーグのチームに入れば、投げないときはDHとして活躍できるだろうとか、目新しいことはあまり書かれていなかったが、読んでいて反射的に思ったのは、近ごろの大リーグでも「大谷世代」の台頭が目立つことだ。
25歳以下の選手に絞ってもスーパースターは多い。
今季開幕時25歳以下の選手に絞っても、スーパースターはすでに多い。マイク・トラウト、ブライス・ハーパー、ムーキー・ベッツ、クリス・ブライアント……。もちろん、カルロス・コレア、ノーラン・アレナード、マニー・マチャド、ルーグネド・オドーア、コーリー・シーガー、フランシスコ・リンドーアの名も落とすことはできない。トラウトやブライアントは、早くもMVPに輝いた。
アレナードやハーパーは、本塁打王や打点王のタイトルを獲得している。早熟の強打者がこれほどまとまって出てくるのは、そんなにしょっちゅうあることではない。私は反射的に、1988年のシーズンを思い出した。
あの年の本塁打数上位は、若い選手で占められていた。ホゼ・カンセコ(開幕時23歳)の42本を筆頭に、フレッド・マグリフ(24歳。34本)、マーク・マグワイア(24歳。32本)、ウィル・クラーク(24歳。29本)といった将来の大選手が目白押しだったのだ。
ナ・リーグ本塁打王のダリル・ストロベリー(39本)にしたところで、26歳の若さだった。彼ら以外にも、コーリー・スナイダー、ダニー・タータブル、ボー・ジャクソンが25歳だったし、23歳のバリー・ボンズも将来の大爆発に備えて力を蓄えつつあった(24本)。