“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
久保建英は同世代の強烈な刺激に。
平川怜、監物拓歩らが見せた競争心。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/04/12 17:00
久保建英の登場によって大きく注目が集まるユース世代。その舞台で活躍を見せれば、早くも脚光が当たることになる。
久保と平川のコンビネーションと、監物の対人能力。
その後再び清水ユースが勝ち越したが、43分には久保が中盤でインターせプとし、そのままドリブルで持ち上がり、平川も一気に前線に駆け上がる。久保がまたぎフェイントで相手を揺さぶりつつ、左アウトサイドからスルーパスを送り込む。これを受けた平川は最終ラインの間を破って抜け出す。放ったシュートは相手DFに阻まれたものの、2人のコンビネーションの威力を感じさせた。
久保と平川が高い能力を見せる一方で、監物も空中戦では圧倒的な強さを見せ、1対1でも負けなかった。時には久保にマッチアップしたDF平岡卓磨をカバーするなど、流れの中で自由を与えなかった。
平川も効果的な攻撃参加を見せつつ、平墳と激しいマッチアップを繰り広げ、球際の強さとボール奪取能力の高さを披露した。特に66分、中央で久保からパスを受けると、ドリブルで持ち込んで迷わず右足一閃。強烈なミドルシュートでスコアを2-2のタイに戻した。
試合終盤の85分には久保が自陣でボールを受けてから3人をドリブルでかわし、チャンスを作り、試合終了間際には監物が相手のロングキックを、高い打点のヘッドで弾き返す場面もあった。
もっともっと前に行ける選手になれれば……。
この熱戦は後半アディショナルタイムに清水ユースFW鈴木魁人が決勝弾を叩き込み、3-2で清水ユースに軍配が上がった。ただスコア以上に3人が能力を発揮したことが、見ている人たちに大きな満足感を与えたことは間違いなかった。
「自分達の甘さが出た。プレミアは厳しいと思った。追いついたところでなんとなく行けるんじゃないかと言う雰囲気になってしまった。もったいない試合だった」
試合後、平川は唇を噛んだ。だが、話を聞いていくと、それ以上に強い意志を感じ取ることが出来た。
「ゴールへの意識は自分の課題でもあって、最近は『走る』ことを意識しています。ゴールシーンもドリブルをした時、パスコースもあったのですが、相手が食いついてこなかったので、シュートを選択しました。もっともっと前に行ける選手になれば、もっと怖い選手になれると思います」