“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高円宮杯プレミア開幕前の横綱対決。
東福岡と市立船橋に再びの因縁が……。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/04/08 08:00
何度も得点機を作って東福岡を勝利に導いた10番の福田。まさに切磋琢磨して両校ともに日本の頂点を目指す。
「僕らの代は昨年のような“因縁”は無いので」
ただ、試合前からバチバチのライバル意識が交錯していた昨年と比べ、今年はそこまでの張りつめたものは無かった。
「僕らの代は昨年のような“因縁”は無いので、そこまで特別な気持ちは無いです」
市船のキャプテンを務める杉山は、この一戦を前にして、こうクールに語っていた。
昨年の両チームは、その前年の2015年にインターハイ決勝で顔を合わせ、延長戦でも決着がつかず、PK戦の末に東福岡が勝利したという経緯があった。そして高校選手権では、3回戦で激突。この時も0-0のまま決着がつかず、PK戦の末に東福岡が勝利し、一気に冬の王座まで駆け上がっているのだ。そして、昨年は船橋招待で対戦して以降は、公式戦では一切対戦が無かったのである。
それ故、前年ほどの因縁こそ無かったはずなのだが……いざ試合が始まると、雰囲気は一変。立ち上がりから青と赤のコントラストが一斉に交わり合う激戦となった。
気迫で大いに勝っていた東福岡。
立ち上がりの激しい攻防が解けると、徐々に赤の勢いが青を飲み込んでいく。
「市船はサニックス杯で優勝している。だからこそ、絶対に負けたくなかった」(阿部)
サニックス杯には東福岡も参加をしていた。だが、準決勝でサンフレッチェ広島ユースに敗れ、3位決定戦でも流通経済大柏に敗れ、4位に終わっている。自分達よりも結果を出した市船を倒して、自信を掴みたい――この試合、気迫は東福岡の方が上だった。
東福岡は22分、バイタルエリアでの細かいパス交換で市船DF陣を揺さぶると、最後はMF青木真生都が抜け出して、強烈なシュートを放つ。これがゴール左上隅に突き刺さり、先制に成功する。
直後の25分には福田のパスを受けたMF木橋朋暉がドリブル突破にかかると、たまらず市船DFがファールで倒す。これで得たFKを木橋が直接蹴り込んで、2点目。
さらに27分には福田が右サイドからドリブルでカットインし、青木へラストパス。青木のシュートはGK長谷川のファインセーブにあうが、こぼれ球をMF江村凛太郎が押し込んで、3-0。
僅か5分間の間に立て続けに3ゴールを挙げた東福岡が、市船を一気に引き離すと、後半開始早々にも田村が試合を決定付ける4点目を挙げ、東福岡の圧勝の流れになった。
しかし、ここから市立船橋の反撃が始まった。