“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高円宮杯プレミア開幕前の横綱対決。
東福岡と市立船橋に再びの因縁が……。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/04/08 08:00
何度も得点機を作って東福岡を勝利に導いた10番の福田。まさに切磋琢磨して両校ともに日本の頂点を目指す。
後半から市船が一気に攻勢をかけようとしたが……。
55分(35分ハーフ)にFW有田朱里がドリブルで抜け出し、飛び出して来たGKもかわし、中央のFW福元友哉へパス。福元のシュートはDFに当たり、CKとなった。その後、郡司のミドルシュートにより市船が1点を返した。
この試合で初のビッグチャンスを確実にモノにしたことで、市船がさらなる勢いを見せ始める。だが、分厚さを増す市船の攻撃に対し、阿部を中心にした東福岡の守備陣が高い集中力を持って跳ね返す……。
結局、試合は4-1のままタイムアップ。
過去2年間、4度目の対戦にして、ようやくPK戦以外で決着がついた。
「ウチと市船の位置付けは、この一戦では決まらない」
現時点でのベストメンバーで挑んだ東福岡に対し、市立船橋はトップチームの複数のメンバーを試すように前後半でメンバーを変えて臨んでいた。
「やはり市船は本当に研ぎ澄まされているチーム。だからこそ、そういうチームにこういうスコアで勝てたことは素直に嬉しい。でも、後半は市船にボールを動かされて、飛び込んだところにすかさずパスを当ててくるところが本当に怖かった。一歩間違えれば、ウチが崩れていた。こっちのちょっとしたタイミングのズレを見逃さずに仕掛けてくる力は本当に脅威だし、もっとあの精度が上がってくれば、さらに脅威になると思う。ウチと市船の位置づけは、この一戦では決まりませんね」
試合後、森重監督はこう試合を評した。
「これで勝負がついたとは思っていませんし、これから市船は僕らにより牙をむいて来ると思う」と阿部が語ったように、東福岡の選手達は自らを戒めるようにバスに乗り込んでいった。
一方の市立船橋は試合後、ベンチの前にトップチームの全員を集め、朝岡監督が言葉をかけていた。東福岡の選手達がグラウンドを後にしてからも、ずっとその輪は解けず……朝岡監督の叱咤は実に40分以上続いた。