サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
原口元気のミドルが攻撃を作る。
年末の特訓は引く相手のために。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/03/27 12:45
UAE戦後半にはゴール前の絶好機で岡崎慎司へのパスを選択した原口。連続得点記録より、チームの勝利を願うプレーだった。
チームのコミュニケーションの質は上がっている。
慣れない戦い方に、短い準備期間――。
しかし、それは代表チームが常に向き合わないといけない必須条件でもある。だから、言い訳をすることなく、与えられた条件でやれることに取り組んでいた。
そしてその過程にこそ、原口は確かな手ごたえを得たのだ。
「監督からまず、『こうしろ』と言われます。そのうえで、近いポジションの選手で話し合い、紅白戦をやり、また話し合う。その上で、試合前にはこうするのがベストなんじゃないかという考えを監督にぶつけたりもしたし、選手同士でもさらに話していて」
そこまで説明したうえで、原口は確かな手ごたえを口にした。
「その作業は、試合を追うごとに良くなっているというか、コミュニケーションの質が上がっているんですよね。監督もすごく話を聞いてくれるようになったし。もちろん、結局は、監督が『こうだ』という風には言うけど、そこでは良いコミュニケーションが取れている(という手ごたえがある)」
監督はヒントを与えるだけで、ピッチの上で臨機応変に実践するのは選手たちの役目だ。
それがハリルホジッチ体制でのやり方だ。
もちろん、その良し悪しはあるだろうが、そこに不満を挟むくらいなら、代表を去るしかない。与えられた場所と方法で、結果を残すのが「プロの仕事」だ。
久保の活躍にも素直に喜べた、チームの背景とは。
ただ、事前に周りのポジションの選手と意見をかわしながら、自分の頭で何度も考えるからこそ、試合のなかで状況に応じて、最適なプレーが見せられる。そうした作業の質が、自分だけではなくチームメイトのものも含めて、向上しているところに手ごたえを感じている。
だからこそ試合の後、久保の活躍にも素直に喜べたのだろう。
もちろん、原口には自分がチームを引っ張るのだという気概がある。ただ、自らの成長だけではなく、チームとしての成長を感じられてはじめて、真の自信は得られるものである。