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世界初? 「釣り禁止」のスタジアム。
J3北九州の観戦に今行くべき理由。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byEiji Yoshizaki
posted2017/03/14 17:00
3月12日の開幕試合は1-1の引分けだったが、1万4935人という観客数はJ3最多を記録した。毎試合これだけ観客が入れば、コッソリ釣りもできないか……。
「広いが遠い」か「狭いが近い」のどちらをとる?
海に面している、という要素から生まれるこれらの「名物」。そこにはこのスタジアムの生まれた背景と歴史が大きく関係している。
そもそも2010年に立ち上がったスタジアム建設計画。北九州市側の「街に活力を与えたい」という思いがあった。
スタジアム候補地は2つあった。市内の八幡東区にある郊外の大きな土地。こちらにした場合、ゆったりとしたスタジアムスペースと、駐車場も確保できるはずだった。
もうひとつは現在の場所。こちらは市内に近いが、狭いという難点がある。
市側は「アクセスの良さを取る」という選択をした。「街なかスタジアム」を実現することで、話題をつくる。まちづくりの観点からも、小倉駅北口の活性化を図った。
建設計画が縮小されたからこその面白さが!?
まずは、狭いから“すり鉢状”よろしく、急角度のスタンドにし、ピッチとの距離を狭める必要があった。
合わせて「海に面するスタンド」という構図にもこんな背景がある。
「もともと、スタジアムは2万5000人規模にする計画もありました(現在は1万5000人規模)。メインスタンドと同規模のスタンドを反対側(海側)にも造り、海にせり出した形にするというものです。しかし市民からのサッカー専用スタジアムを造ることへの反発、ギラヴァンツの入場者数の水準、さらに準備期間での東京オリンピック決定などもあり工事費が上昇。まずは現状の規模で、完成させたのです」(関係者)
もし、2万5000人規模だったら、「海ポチャ」への期待感はなかったということ?
また同規模での建設計画が議論された時期には「いっそのこと、スタジアム近くに釣りエリアを作ろうか」という話まであったという。だとしても釣りは禁止になった可能性が高いが……いずれにしても、こうも言えるのだ。
“海ポチャも、釣り禁止も、小規模だからこそ生まれたネタである”
ケガの功名、災い転じて福となす、人間万事塞翁が馬、七転八起――。
仮にスタンドが今後拡張されれば、2つの要素は楽しめなくなってしまうのか?
行くのなら早いうちに!