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WBCは“滑らせ変化球”こそ最強。
千賀と宮西が今後も頼れる理由。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNaoya Sanuki

posted2017/03/09 11:50

WBCは“滑らせ変化球”こそ最強。千賀と宮西が今後も頼れる理由。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

WBC球の特徴を把握した上で、“縦スラ”を駆使して見事なピッチングを見せた千賀。

「ひねり系」「抜き系」の球種は、WBC球の影響大。

 実は日本の公式球より滑ると言われるWBC球は、球種によって明らかな傾向がある。

 「ひねり系」や「抜き系」のボールは影響を受けやすく、どちらかというと「滑らせ系」のボールは影響を受けにくいのだ。

 具体的に言うと、カーブはフィニッシュの瞬間に指先を縫い目にかけてボールに強く回転を与える投げ方と抜く投げ方の2通りがあるが、いずれにしても「ひねり系」「抜き系」でWBC球の影響を受けやすい。

 またフォークも、人差し指と中指で挟んでフィニッシュで抜く(抜き系)ため、WBC球では抜き方が難しくなる。

 一方、縫い目に指先をかけて滑らすように投げるスライダーやカットボール、ツーシーム系(「滑らせ系」)のボールはさほど影響を受けないばかりか、曲がりが大きくなることさえある。その曲がり幅を制御できるようになれば、逆に大きな武器となることもあるということだ。

短期決戦のWBCでいきなりカーブやスプリットは困難。

 WBC球とほぼ同じと言われる公式球を使うメジャーで、カットやツーシーム、またフォーク系でも浅く挟むスプリットが流行るのも、ボールとの相性という部分が大きいのだろう。

 ハードカーブやスプリットを自在に操れるようになれば、クレイトン・カーショー(ドジャース)や田中将大(ヤンキース)のようにメジャーでもトップクラスの投手にのし上がっていくことになるわけである。

 ただ、短期決戦のWBCで、慣れないボールでいきなりカーブやスプリットを駆使できるようになれという方が難しい。

 そういう意味では扱いやすいスライダーやカットをどう使えるかが、投手にとってはカギとなるのである。

【次ページ】 過去のWBCで活躍した日本人投手に共通した武器は?

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