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鈴木誠也が化けたきっかけはU21!?
野球で、国際大会の成績は重要か。
posted2017/03/09 07:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Hideki Sugiyama
侍ジャパンのオフィシャルサイトの上部にあるメニューバーには「トップ」「社会人」「U-23/U-21」「大学」「U-18」「U-15」「U-12」「女子」の8カテゴリーが並び、ここをクリックすると試合日程や結果がわかるようになっている。
このサイトで紹介されている最も古い大会が2013年なので、国際大会が多様化したのもこの時期からと考えていい。これらの年齢別の国際大会の開催を、私は長い間待ち望んでいた。16年前に書いた文章を見てほしい。
「高校生を積極的に獲得して、有能なファーム指導者によって育て上げるという、本当は当たり前のことに、各球団はもっと真剣に取り組むべきである。そして、ファームからの選手の輩出スピードを上げる。このスピードが停滞するようだと、日本のプロ野球は衰退するかもしれない。/僕はサッカーのことは全然知らないが、一つだけうらやましいことがある。それは『アンダー19』『アンダー22』という年齢を制限した国際大会があることだ。ファーム選手の野球に対するモチベーションを上げるためには、日常的なウエスタン、イースタンの試合から一度は離れる必要がある」
『2001年版 プロ野球 問題だらけの12球団』(草思社)より
21世紀初頭、国際大会は非常に限られたものだった。
これを書いた2001年当時、国際大会としてオリンピックこそ競技に入っていたが、それ以外は社会人を対象にした数えるほどの大会と、大学生が対象の日米大学野球選手権くらいしかなかった。
プロの二軍は日常的なウエスタン・リーグ、イースタン・リーグが中心で、フレッシュオールスターゲームとファーム日本選手権があった程度。ファームから人材が輩出されることは少なく、ファームにいる時間をいかに短くするかがプロで活躍するためには重要と信じられていた。当然、高校卒が一軍の戦力になることは今と比べて少なく、それがドラフトで大学生、社会人を上位指名する「即戦力志向」に拍車をかけていた。