野球のぼせもんBACK NUMBER
メキシコで“勘違い先発”も何のその。
ホークス五十嵐亮太は心も体も頑丈。
posted2017/03/11 08:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
ホークスの松田宣浩が面白いことを言っていた。
松田といえば球界一の元気者だ。現在WBCを戦っている侍ジャパンにおいても、ダグアウトから飛び出さんばかりに前のめりで声を張り上げている。
だが、球界の通例でいえば声出しは若手の仕事で、ベテランはベンチの後ろにどかっと腰掛けていてもいいはずだ。それを松田に問うたところ「喝」を入れられてしまった。
「何言ってるんですか! それってベテランが落ち目になる第一歩ですよ。年齢を重ねて怖いのは肉体的な衰えじゃない。大事なのは気持ちです。僕は発見したんです。声を出せば怪我もしない。体の芯から活発なエネルギーを出すから体も動く。オトナになり過ぎたらダメなんです」
さらに言葉を継ぐ。
「野手だけじゃない。ピッチャーだってベテランになっても結果を残している人は、マウンドで『オラ』って吠えてるでしょ」
それを言われて、すぐに思い浮かんだ投手がいる。
同じホークスの五十嵐亮太だ。
何かをクリアしても、またすぐに次の課題が。
今年5月に38歳になる。チーム最年長だ。プロ20年目を迎えるリリーバーは、一球に魂を込めて右腕を振り続けてきた。ピンチの場面を切り抜ければ、松田が言うように雄叫びを上げて派手なガッツポーズを作る。その姿にチームもファンも大いに盛り上がる。
少年野球の頃の気持ちを常に持ち続けることも大事。これも松田の弁だ。
上手くなりたい、もっと、もっと。
五十嵐は常にそれを欲している。
「いつも考えさせられる。でも、結局は思い通りにいかないことばかりですよ。それが当たり前なんです。何かをクリアしても、またすぐに次の課題が見つかる。その繰り返しです」