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Bリーガー辻直人、負傷離脱に思う。
万能シューターとなるための過程に。 

text by

辻直人

辻直人Naoto Tsuji

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photograph byNaoto Tsuji

posted2017/03/06 08:00

Bリーガー辻直人、負傷離脱に思う。万能シューターとなるための過程に。<Number Web> photograph by Naoto Tsuji

腰痛で試合に絡めない時期があっても、辻は体を追い込むことを忘れてはいない。

怪我は神様がくれた少しの休養、と思うことに。

 怪我は「神様からの試練」と言われることも多いが、自分の場合は少し違うと思っている。怪我は神様がくれた少しの休養で、今の自分に必要な身体作り、身体の弱点を知る時間をプレゼントしてくれたのだ、と。そう思えるようになってからは前向きにリハビリ、弱点の改善、そして身体作りに励むことができている。

 ただ、幸いにもチームは勝ち続けてくれているので気持ち的には少し救われているが、大きな負担をかけていることは間違いない。その分というわけではないが、苦手としてきた分野のトレーニングや地道なエクササイズに歯を食いしばって取り組み、人間はこれだけ変化し、パワーアップできるのだということを証明したいと思っている。

 それが今、自分が出来ることだ。今すぐ成果を発揮できるものではないけれど、少しずつでも証明していければ。この怪我が、僕のバスケット人生において「良い経験だった」と言えるよう進化していきたい。

日本代表合宿でのディフェンス指導は斬新だった。

 先月、札幌で日本代表の国際強化試合が行われた。ルカ(・パヴィチェヴィッチ日本代表ヘッドコーチ)が率いる日本代表は、報道などを通じてご存知の方は多いと思うが、コートを広く使い、ピック&ロールを多用する。そこからの合わせ、リバウンドからの速攻、アーリーオフェンスを中心に攻めるチームだ。

 僕が以前合宿に参加して新鮮さを感じたのは、オフェンスでの細かいポジショニング、ボールをもらう位置まで細かい指摘を受けたことだ。そして、ディフェンス。ボールプレッシャーはもちろんディナイの激しさなど、求められることは長谷川(健志)前日本代表ヘッドコーチと同じ。しかし、インサイド(ペイントエリア)に対してのディフェンスは明らかに違った。

 例えばドライブやピック&ロール、インサイドプレーで崩された時のビッグマンに対してのヘルプディフェンスだ。今まではペイントエリア内には3人くらい行っていたと思うが、ルカは違う。

 日本のディフェンスは過剰なヘルプが多く、そこから更に崩される。その結果スリーポイントを決められたり、ノーマークにパスをさばかれてシュートを決められることが多いと指摘された。だから必要最低限のヘルプでいい、という守り方の指導を受けた。最初は「それで本当に大丈夫なのか」という気持ちもあったが、同時に新鮮であり、楽しさも感じた。

 果たして、その戦術がイラン相手にどこまで通用するのか、僕は確認したくて仕方なかった。

【次ページ】 ワンステップ上のレベルに行くには、ディフェンスを。

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