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同じピッチでこそ感じる脅威がある。
対戦相手が語る久保建英の“チラ見”。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2017/02/21 07:00
外から見るのと、ピッチで対峙するので、選手の「脅威度」が大きく違う。久保建英はそういう選手なのかもしれない。
チームが0-4の大敗でも、自分にできることを。
対戦相手を惑わせる目配せは、オンザボールの場面で広い視野の確保につながる。日本高校サッカー選抜でキャプテンを務めた住永翔は、ゲームが後半に入った43分のプレーを具体例としてあげた。
右サイドから横へのドリブルで持ち出した久保は、逆サイドを駆け上がった味方選手へ決定的なパスを供給した。フリーでパスを受けた左サイドバックの一撃は、鋭くバーをかすめていった。
「速いスピードでドリブルをしても、逆サイドまでしっかり見ていました。姿勢がよくてヘッドダウンしないから、視野を広く持てている。ドリブルをしていても、頭がブレないなと感じました。学年を感じさせないというか、中3と聞いたら驚くプレーばかりでした。(昨年のFC東京U-23で)J3リーグとかにも出ているので、ボールの持ちかたと身体の使いかたはすごい。相手の逆を突くのがうまいので、やっていて楽しかったですね」
年上の選手たちのなかへ放り込まれても、表情に焦りの色を浮かべず、判断を間違えない。自己アピールへ走らずに、ゴールから逆算してプレーを選択できる。チームが0-4の大敗を喫したゲームでも、久保は15歳の自分にできることと、FWとしてやらなければいけないことを表現していた。
U-17とU-20、どちらのW杯に出場するべきか。
2017年の日本サッカーは、若年層の代表が世界へ挑む。U-17とU-20の日本代表が、年代別のワールドカップに出場するのだ。これまで久保はU-17世代の活動に軸足を置いてきたが、アジア予選突破後はU-20日本代表にも招集されている。
U-17とU-20のどちらのW杯に、久保を出場させるべきなのか。あるいは、どちらも出場させるのか。日本サッカー協会技術委員会は、この若い才能がオーバーワークにならず、それでいて成長速度を止めないことを念頭に、久保のスケジュールについて議論を重ねている。