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同じピッチでこそ感じる脅威がある。
対戦相手が語る久保建英の“チラ見”。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2017/02/21 07:00
外から見るのと、ピッチで対峙するので、選手の「脅威度」が大きく違う。久保建英はそういう選手なのかもしれない。
世界のタレントが集結するU-17には、ぜひ出て欲しい。
ひとつに絞る必要はないだろう。
カレンダーの上では、どちらも出場できる。U-20W杯は5月から6月にかけて、U-17W杯は10月に開催される。開催国は韓国とインドで、移動の負担は大きくない。インドにはU-16日本代表の活動で、昨年だけで2度訪れている。環境に対するストレス耐性はすでに備わっていると言っていい。
久保に自らの現在地を測ってほしいのであれば、U-17W杯に出場させるべきだ。この年代でトップチームのレギュラーとなっている選手は、欧州でも南米でも例外的だ。それゆえに、U-17W杯には同世代の優れたタレントが集結してくる。アジア以外の大陸はこれから出場国が決定するが、参加24カ国の顔ぶれがどのようなものになるとしても、久保には有意義な機会となるはずだ。
ドリブルを仕掛ける手のひらに注目。
U-20W杯はどうか。5月20日に開幕する大会には、南米からアルゼンチンやウルグアイ、ヨーロッパからドイツ、フランス、イングランドらが集結する。ただ、クラブレベルで結果を残していれば、U-20代表ではなくフル代表に招集される選手も出てくる。U-20W杯の期間中には、ロシアW杯の大陸予選も開催されている。選手の“粒”を比較すると、U-17W杯に見劣りしてしまう可能性が否定できないのだ。
久保とU-20日本代表の接点は、昨年末のアルゼンチン遠征で始まったばかりである。チームへのフィット感はこれから高めていくことになるが、チームメイトのレベルがより高くなることで、久保のプレーの選択肢は増える。U-18Jリーグ選抜で得点やアシストを記録できなかったのも、急造チームゆえにコンビネーションに物足りなさがあり、意外性や創造性を発揮しきれなかったからでもある。
2017年の第一歩に、分かりやすい結果は残せなかった。
それでも、久保は自身の可能性を見せた。ドリブルで突破を仕掛ける手のひらが、固く握りしめられることは決してない。身体に無駄な力が入っていないのだ。
自分以外は全員が高校生のチームでも、15歳の中学生は顔色を変えることなくプレーした。