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何もかもが対照的だったゼロックス杯。
鹿島と浦和は大事にする要素が真逆!

posted2017/02/20 11:55

 
何もかもが対照的だったゼロックス杯。鹿島と浦和は大事にする要素が真逆!<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

鹿島と浦和。今年もJの優勝を争うであろう2クラブが全く違うカラーを持っていることは、日本のサッカーにとって楽しいことだ。

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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 ジョゼップ・グアルディオラのマンチェスター・シティとジョゼ・モウリーニョのチェルシー、あるいは、ユルゲン・クロップのドルトムントとユップ・ハインケスのバイエルン。いや、海外の例を持ち出すまでもなく、'90年代後半の鹿島アントラーズとジュビロ磐田、2000年代後半の浦和レッズとガンバ大阪のような関係性だろうか。

 スタイルや哲学など、チームの「色」がまるで異なる好敵手の存在が、その2チームの対戦をより味わい深いものにする。

 2月18日、昨年のチャンピオンシップ決勝の再現となった鹿島アントラーズと浦和レッズによるFUJI XEROX SUPER CUPは、何もかもが対照的で、改めて互いに「何を大事にしているのか」が浮かび上がる面白いゲームだった。

「相手にとって嫌なチームになる」という優先項目。

 前線にペドロ・ジュニオール(前ヴィッセル神戸)を、ボランチにレオ・シルバ(前アルビレックス新潟)を加えた鹿島は「堅守」と「速攻」、その双方において昨シーズンよりも精度や迫力が高まりそうな気配がある。

 もちろん、鹿島の最大の武器はカウンターではなく、対戦相手や戦況に応じて変幻自在に戦える点にある。カウンターを狙うべきときには狙い、ボールを握って落ち着かせるべきときにはチームとしてそれができる。そうした戦い方の柔軟性において今シーズン、カギを握りそうなのは土居聖真だろうか。

 2トップの一角、トップ下、サイドハーフを務められる器用さで前線の組み合わせにバリエーションをもたらすだけでなく、緩と急を自在に操るキープ力とドリブルで、攻撃のリズムも変えられる。その土居が、攻撃陣の再編について言及する。

「迫力が出たというか、ゴリゴリ系の選手が増えたので、そういう選手を使い、使われながらやっていきたいですね。迫力や推進力はすごいと思う。自分としては、一緒にゴリゴリ行く場面と、ゴリゴリ系の選手に相手の目が行くところで、相手の逆を取ったり、裏を狙ったり、バリエーションをつけていきたい。それができれば、相手にとって嫌なチームになると思う」

「相手にとって嫌なチームになると思う」という表現に、鹿島のチームとしてのプライオリティがくっきりと見える。

 試合後、石井正忠監督は浦和との比較において、「うちは本当にベーシックなサッカーをやっていると思っている」と語った。人と異なることにトライしようとする監督が多い中で、ベーシックであると公言するのは珍しいかもしれない。しかし、特殊なことでも常識外れなことでもなく、オーソドックスなことを完璧と言える領域まで高めようとしているのが鹿島というチームであり、チームをそこへと導くチャレンジをしているという誇りが、石井監督にはあるのだろう。

【次ページ】 駆け引きではなく、攻撃の徹底を選んだ浦和。

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