“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
直談判でFW出場、そして2ゴール。
南野拓実は全てを自力で掴み取る。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/02/11 07:00
南野拓実は昨季2ケタ得点を達成し、今季も順調にゴールを重ねている。ステップアップの時は近い。
まず試合に出ること、監督の要求を理解すること。
「2017年で重要なのは、まず試合に出続けること。監督が求めることが何なのかをしっかりと理解する。去年は監督に直接聞きに行ったこともあった。監督が求める守備のところだったり、チームとしての連動性だったり。そこを理解してプレーに表した上で、後は自分がやり続けている攻撃で結果を残すことが出来れば、試合に出られると思うし、自分のステップアップに繋がると思う」
この決意は、2016年最後のボルフスベルガー戦にも如実に現れていた――。
監督に「FWで出たい」と直談判。
今季のザルツブルクにおいて、南野はサイドハーフとFWの2つのポジションを与えられていた。その中でオスカル・ガルシア監督は、南野のプライオリティーを右サイドハーフに置いていたが、そのポジションでもがっちりと定位置を確保したわけではなかった。
「試合に思うように出られなくて、いろいろ考えて直接監督に聞きに行ったんです。監督からは『(サイドハーフとして)攻撃は良いけど、自陣でボールを奪う回数が他の選手より少ないというデータが出ている』と指摘されました。監督は、奪ったボールを前に運んで行く能力、ゴール前の能力は認めてくれている。でも、自陣での守備の回数は他の選手より少ないという見方でした。
それを聞いて、僕はもっと結果で評価されるFWで出して欲しいと思ったので、『どちらで起用をされても、良い準備は必ずしています。ただ、サイドの選手に守備を求めるのであれば、FWの方が監督の想いや考えを表現出来ると思います』と言ったんです。もちろん、言い方には気をつけました」
覚悟の直談判だった。しかし、それ以降ガルシア監督が南野をFW起用する機会は目に見えて増えた。そして、リーグ中断前最終戦の第20節のホーム・ボルフスベルガー戦。ガルシア監督は南野をFWで先発出場させたのだ。