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中田英寿が送った“2つの助言”。
武藤嘉紀の思考に変化は起きたか。
posted2017/02/10 17:00
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
AFLO
ロンドンの中心地に建つ、とあるオフィス。そこは多くの有名選手が所属するエージェント事務所である。
室内には現役、引退した選手を問わず、誰もが知るプレーヤーのシャツが額に入れて飾られている。これまで成功した移籍劇は数知れず。ビッグディールの歴史が、彼らの名誉と信用を高めている。
その事務所で、プレミアをはじめ各国リーグで活躍中の選手を担当するイギリス人代理人から、ある選手の名が飛び出した。
「ムトウはケガから復帰したようですね。彼はチェルシーがオファーを出した選手なので名前は知られています。将来的にはプレミアリーグでプレーしたいと話していると聞きました。我々が今後彼と仕事ができる可能性があるかどうかは別にして(笑)、これから注目の選手でしょう」
ケガの怖さは徐々になくなってきている。
1月下旬、ウインターブレイクが明けたブンデスリーガ。武藤嘉紀は現在リーグ再開初戦から3試合連続で先発出場を果たしている。1月29日に行われたドルトムント戦では左足を振り抜きゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定で得点は幻となるなど、今年に入ってノーゴールが続いている。
「状態自体はすごく良い。ケガの怖さも徐々になくなって、体もどんどん動けてきている」
記者陣の囲み取材でも、前を向いて気丈に話す姿が帰ってきた。2016年は合計3度の右ひざの負傷に見舞われ、満足にピッチに立つことすらできなかった。今季開幕前には「サッカー人生を懸けた1年になる」と話したが、気合と覚悟とは裏腹の状態に直面し、心が折れそうになった。だから今、こうして明るい表情でピッチに戻ってきたことだけでも、好材料に映る。
ただ、本当の意味で自信を回復するには至ってはいなかった。