“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
直談判でFW出場、そして2ゴール。
南野拓実は全てを自力で掴み取る。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/02/11 07:00
南野拓実は昨季2ケタ得点を達成し、今季も順調にゴールを重ねている。ステップアップの時は近い。
6得点はリーグ7位、トップクラスのハイペース!
待ちわびていたチャンスがやって来た。
「ついに来た。やったるぞ、という気持ちが強かった。それにシーズン中断前最後の試合だったので、ここできっちりと点を獲ってオフに入ったら、絶対に監督は自分のことを良いイメージを持って過ごすと思ったし、『もうやるしかないぞ!』と」
プレッシャーや気負いは一切無かった。そこに、結果を残せなかったらどうしようという弱気の虫は完全に存在しなかった。彼の気持ちを支配していたのは、FWというポジション、そしてゴールという結果への飢えを満たす気持ちだけだった。
そして、南野はその想いを見事に結実させた。開始早々の6分に先制弾を叩き込むと、2分後の8分に2点目。そのまま85分までFWとしてプレーし、3-0の勝利に大きく貢献した。この2ゴールで南野は今季通算6得点。得点ランクでリーグ7位タイに躍り出た。チーム内ではジョナタン・ソリアーノと並んでトップスコアラーである。しかも、南野は9試合出場で6ゴールと、リーグトップクラスのハイペースだ。
「もう22歳、若い年齢じゃないですからね」
迎えたドバイキャンプ。彼の目論見通り、ガルシア監督の信頼を勝ち取ったことを実感する機会があった。サイドハーフとしてプレーしながらも、FWにポジションを移してプレーする場面が増えている。ノルウェーの強豪・ローゼンボリとの親善試合では、右サイドハーフで出場したが、63分の選手交代でFWにポジションを移し、76分には縦パスにトップスピードで抜け出してGKと1対1になり、冷静に左足で沈めてみせた。
「監督はサイドでもFWでも、ちゃんと構想に入れてくれている」
2017年はリスタートであり、海外生活2年のベースを踏まえた「世界仕様の南野拓実」を見せてくれる元年になるということですね、と本人に尋ねると、南野は負けじと力強く答えてくれた。
「かっこ良く言えばそういう年にしたい。ゴールに直結するプレーはこっちでも確かな手応えを感じているし、自信を持って成長をする姿を見せるにあたって、強気にやっていきたい。やっぱり日本の方々にそれをしっかりと見てもらうためには、圧倒的な結果が必要ですね。そうじゃないと日本に届かない。僕ももう22歳。決して若い年齢じゃないですから、覚悟と決意は固まっています」
南野拓実、22歳。日本の将来を担う天才アタッカーは、確固たる野望を胸に、新たな一歩を力強く踏み出した。