“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
直談判でFW出場、そして2ゴール。
南野拓実は全てを自力で掴み取る。
posted2017/02/11 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「2017年は成長した自分を見せる重要な年だと思っている」
レッドブル・ザルツブルクに所属する南野拓実の決意の2017年がいよいよ幕を開けた。
「日本代表、そしてより上のリーグに行く。自分がこの国で『圧倒的な結果』を残せば、それは必ず実現すると思っています」
圧倒的な結果。それはつまりゴールであり、アシストという目に見える結果である。もちろん結果を出すのはどの国でも、どのチームでも重要なことだ。しかし、なぜ南野は「圧倒的な」という言葉をつけたのか。それはすぐに明らかになった。
「正直、オーストリア・ブンデスリーガは、やっぱりあまり注目されていないな、と感じることが多いんです。ドイツ、イングランド、イタリア、スペインなどの情報はすぐに日本に届く。久保裕也選手もスイスからベルギー1部に行って、デビュー戦でゴールを決めたら、そのニュースがすぐに出ましたよね。そういう面で歯がゆさはあります」
オーストリアの情報が日本には届いていない。
ヨーロッパ4大リーグで日本人が活躍をすれば、すぐに日本での報道がなされる。4大リーグほどではなくても、フランス・リーグアン、オランダ・エールディビジも報道は多い。そして、1学年上の久保も、スイスのヤングボーイズからベルギー・ジュピラープロリーグのヘントに移籍すると注目度が上がり、デビュー戦のド派手なFKによる決勝ゴールは、大きなインパクトとして日本に即座に届いた。
しかし、自分が所属するリーグの情報は、そこまで日本に届いていない。その実感が彼に大きな危機感を抱かせ、ザルツブルクでの3シーズン目を過ごす原動力となっている。強い言葉は、その決意の表れだった。
「やっぱり日本代表に入っているか入っていないかでも、注目度は相当変わって来ると思います。そこに入るためにも、『圧倒的な結果』が必要なんです」
オーストリア移籍3年目とあって、言葉の問題は徐々に減っている。ザルツブルクの街にもずいぶん馴染んだ。土台が出来たと実感した彼は、2017年を勝負の年と位置づけた。