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4分の3が私立高になったセンバツ。
公立びいき、片側応援も程ほどに。 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byHideki Sugiyama

posted2017/02/08 07:00

4分の3が私立高になったセンバツ。公立びいき、片側応援も程ほどに。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

甲子園で選手たちが流すのは、勝利の嬉し涙と、力及ばず敗れた悔し涙だけであってほしいものだ。

公立びいきは昔からだが、最近は過熱する傾向が。

 思い出した場面がある。

 昨年・夏の甲子園大会。

 出場校の5分の4を私学が占めたこの大会で、ある“傾向”がはっきり見えた。特定の私学に対する観客の偏った反応だ。

 私学と公立が対戦すれば、なんとなく“公立びいき”のムードが甲子園全体を覆うのは、私が甲子園を見始めた40年以上も前からお約束の傾向なのだが、私学と私学が対戦する場合にも、このひいきのムードをはっきり感じてしまったのは、私だけだったのだろうか。

「ひいき」という言葉を使ったが、その場の空気をリアルに表現すれば「片方のチームを、甲子園じゅうのファンがいじめている」、そんなふうにも見える場面だった。

 顕著な例として、たとえば東邦高(愛知)と八戸学院光星高(青森)の試合が印象に残る。

 5-9とリードされた東邦高の9回の攻撃。甲子園のスタンド全体が東邦、東邦! の応援モード。タオルを振り回して、鳴り止まない手拍子だ。その追い風に背中を押されるようにして、東邦高打線がヒットを重ねて、最後は4連続安打の猛攻で、とうとう4点差をひっくり返して逆転サヨナラ勝ちに持ち込んだ。

秀岳館もアウェームード一色に。

 さらに、準決勝の北海高(南北海道)と秀岳館高(熊本)との一戦でも、6回まで4-0でリードしていた北海高が、7、8回に秀岳館高に1点差まで追い上げられると、最終回の秀岳館高の攻撃時に、今度は甲子園のスタンドじゅうが「北海ガンバレ! 秀岳館アウェー」のムード一色になってしまった。

 わずかに、八戸学院光星高、秀岳館高の生徒、OB、関係者が陣取るアルプススタンドだけがまさに“孤軍奮闘”するが、どちらも大応援団というほどの人数でもないのが、余計にムードの“劣勢”を印象深くしていた。

【次ページ】 伝統ある名門より、新興私学は立場が弱い?

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