マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
4分の3が私立高になったセンバツ。
公立びいき、片側応援も程ほどに。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/02/08 07:00
甲子園で選手たちが流すのは、勝利の嬉し涙と、力及ばず敗れた悔し涙だけであってほしいものだ。
選手にモラルを求めるならばファンの側にも。
3年間のすべてを懸けて、やっとの思いでこぎ着けた夢の大舞台で、まさかこんなにも“招かれざる客”として扱われるとは……。
甲子園に出てきたことが、彼らの心に傷を負わせてしまったとしたら、いったいその加害者は誰なのだろうか。
スポーツを育てるのは、直接関わる大人たちだけでなく、メディアと、そして誰よりファンの1人ひとりであろう。
高校野球に取り組む選手たちにモラルを求めるのであれば、彼らの奮闘を見守り、その視線と拍手で選手たちを育てていくはずのファンの側にも、それ相応のモラルと選手たちへの敬意があってよいのではないだろうか。
できれば、もう二度と起こってほしくない“夏の嵐”を思い出しながら、お叱りの声を覚悟で、あえて記させていただいた。