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四大陸の中心はやっぱり羽生結弦。
深みと切れが増す「見せる」の変化。
posted2017/01/26 07:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
2月14日、四大陸フィギュアスケート選手権が韓国・江陵アイスアリーナで開幕する。19日の男子フリーまで、連日競技が行なわれる。
年が明けて、最初の大きな国際大会である。シングルでは、日本から男子が羽生結弦、宇野昌磨、田中刑事、女子は宮原知子、樋口新葉、三原舞依が出場する。3月から4月にかけて行なわれる世界選手権と同じメンバーだ。つまりは、世界選手権をも見据えての試合となる。
選手たちは昨年末に行なわれたグランプリシリーズや全日本選手権などを終えて、課題はどこにあったのか、強化すべき点などを見直し、それらに取り組んできた。その成果をたしかめる場でもある。
まず注目されるのは、羽生だ。昨年12月上旬、グランプリファイナルで4連覇を達成。年末の全日本選手権はインフルエンザによる影響で欠場した。その後静養し、1月7日にカナダ・トロントへ向け出発。当地で練習に励み、年明けの初戦を迎える。
練習では、細かいところのチェックにも取り組んでいるという。今シーズン、試合を重ねるにつれて、ショートプログラムの「レッツ・ゴー・クレイジー」は見せ方、引き込み方に切れと深みが加わっている。フリーの「ホープ&レガシー」もしかり。ジャンプの成否のみならず、どちらも「見せる」という部分で進化してきただけに、全日本欠場後の練習による変化がどう見られるのか、楽しみなところだ。
宇野の4回転は今後のための武器になる。
宇野は年末年始、ジャンプを中心に、ハードに練習を重ねてきた。そこで手ごたえを得た。
「4回転ループが毎日、コンスタントに跳べるようになってきています。シーズンの後半、入れようかなと考えています」
全日本選手権後のエキシビションで、4回転ループに挑戦している。転倒したが、もしプログラムに組み入れて成功するなら、それは今後のための武器の1つとなる。四大陸選手権でお披露目はなるか、それもみどころになる。
今シーズン、課題とされてきた表現の部分で伸びを見せた田中。特にフリーは、昨シーズンの「椿姫」と打って変わったユーモラスなテイストのある曲に取り組み、魅力を引き出している。
昨シーズンに続いての出場となる四大陸選手権で、さらなる好演技を見せて、初めての舞台となる世界選手権へつなげたいところだ。