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岡崎は地味だがやっぱり役に立つ。
「強かったレスター」を1人で体現。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2017/01/18 07:00
不安定な出場が続く岡崎慎司だが、パフォーマンスは崩れていない。レスターが機能性を取り戻すためには、彼が必要だ。
岡崎投入時に、選手が疑問のジェスチャー。
当初から0トップ気味の布陣を敷いていたチェルシーは、早い時間の先制点で戦い方にも余裕が生まれる。しっかりと固められたチェルシーのゴールを割ることは、当然困難なミッション。0-1で前半を終えたものの、51分にマルコス・アロンソが追加点。0-2となった直後、アップをしていた岡崎がコーチに呼ばれる。
入念なアドバイスを受けた岡崎がピッチサイドに立つ。レフリーが掲げたボードにスタンド内は一瞬ざわめいた。そして、ベンチから最も遠いサイドに立つフクスが手を上げる。その姿は、「どういうことなんだ?」という疑問を指揮官に問いただしているようにも見えた。GKのシュマイケルも同様のジェスチャーだった。
ラニエリ監督はセンターバックのフートに代えて、岡崎を投入した。5バックだったDFを1枚減らし、4バックに変える。そういう意図だったのだろうが、それがスムーズに選手やチームへ伝わったのかは微妙だった。それでも、ゴールを奪うという姿勢は選手たちも理解しただろう。
しかしフォーメーションを変えても、レスターが徐々に自陣へ押し込まれる状態は変わらない。なんとかマイボールにしても、次のパスがタッチを割ったり、相手選手へ渡ったりとミスが続いた。
岡崎自身の仕事ぶりは、昨季から落ちていない。
昨季はどんなに押し込まれても、ボールを奪ったタイミングでグッとラインを押し上げることができた。同時に素早いカウンター攻撃に転じる。もちろん、前線から始まる守備でボールをインターセプトする機会も多かった。ボールを奪えるという自信があるから、パスを待つ選手も常に準備が出来ている。そういう漲るような躍動感やほとばしる強さが、この日のレスターには微塵も感じられなかった。
トップ下の位置に立った岡崎は、守備陣からのパスを受けて、前線へと繋ぐ仕事に追われていた。後ろ向きでボールを受けて、ターンし、パスを出し、自身も攻撃に加わるために走る。その仕事ぶりは昨季と比べても遜色はない。しかし、岡崎からのパスを受けた選手のパスが狂うなど、岡崎の貢献が台無しになってしまうシーンも多い。そのひとつがチェルシーの3点目の起点になった。