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岡崎は地味だがやっぱり役に立つ。
「強かったレスター」を1人で体現。
posted2017/01/18 07:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
AFLO
前シーズン奇跡の優勝を遂げたレスターは苦しい今シーズンを戦っている。
対戦相手に恵まれたUEFAチャンピオンズリーグでは、早々に決勝トーナメント進出を決めたが、リーグ戦では勝ち点を積みあげることに失敗していた。
多くの選手の流出が予想されていたレスターだったが、ボランチとして類まれな能力を発揮してフランス代表入りしたカンテがチェルシーへ移籍した以外、優勝メンバーの多くが残留。そのうえで、クラブ史上最高額の移籍金でアルジェリア代表FWスリマニ、スピードが持ち味のムサを補強した。とはいえ、チャンピオンズリーグを戦うことも考えると移籍加入選手の数はそれほど多くはなかった。しかも、カンテの後釜と期待されたメンディが早々に負傷離脱し、守護神シュマイケルの離脱も痛手だった。
「レスターは全員で守備をし、豊富な運動量で戦ってきたチームだけれど、監督はその戦い方に限界を感じて、スリマニのような典型的な点取り屋を使っているのかもしれない」
岡崎がそう語ったのは9月27日のCLポルト戦後だった。
その1週前、9月20日のリーグカップ対チェルシー戦に先発出場し、2得点を決めたもののその後は再びベンチスタート。岡崎の不在が調子の上がらない理由だとメディアは書きたてた。10月22日に先発出場で得点を決めてからは徐々に岡崎の先発起用が増えたが、12月になると再びベンチスタートの試合が多くなった。
首位チェルシー戦に奇策で挑んだが……。
1月14日チェルシーをホームに迎えた一戦。現在首位を独走するチェルシーだが、この日はトップスコアラーのジエゴ・コスタが負傷欠場(一部では監督との衝突が報じられている)するなど、不協和音が聞こえてくる。
レスターのラニエリ監督は、長く採用していた4-4-2ではなく、5-3-2(3-4-3)という奇策で挑んだ。代表の試合のためにチームを離れたスリマリ、マフレズの穴を埋める意図があったかもしれない。
しかし、その思惑は開始6分で打ち破られた。
ペナルティエリア内に押し込まれたレスターは、自陣を固めていたはずだった。しかし、セカンドボールを拾うチェルシーのパスワークに混乱したのか、最後はまったくフリーの状態でパスを受けたマルコス・アロンソに先制弾を決められた。