沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
芸術的な共同作業でJC完全勝利。
武豊+キタサンに漂ってきた無敵感。
posted2016/11/28 12:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
まーつりだ、まつりだ、まつりだ、キタサンまーつり。これが日本の、これが競馬の、まつりーだよー♪
暮れなずむ東京競馬場に、北島三郎オーナーの「まつり」の歌声が響き、10万人近い大観衆が熱戦の余韻に酔いしれた――。
外国馬3頭を含む17頭によって争われた第36回ジャパンカップ(11月27日、東京芝2400m、3歳以上GI、1着賞金3億円)を制したのは、北島氏が所有し(名義は有限会社大野商事)、武豊が騎乗する1番人気のキタサンブラック(牡4歳、父ブラックタイド、栗東・清水久詞厩舎)だった。
週半ばの降雪の影響で、東京競馬場の芝は良発表ではあったが、やや力のいる状態になっていた。特に、多くの馬に踏まれる内が痛んでおり、この日行われた芝のレースでは、4コーナー出口でほとんどの馬が内を避けて外を通っていた。
これは、逃げ馬にとっては厳しい舞台設定と言える。逃げ馬は、単騎で走っていて不安になったり、スタミナが切れそうになったとき、内ラチを頼って走ることによってもうひと頑張りすることが多い。しかしこの日のような馬場で内を走ると、それだけで他馬より余計にエネルギーを使うことになる。
1枠から好スタートを切り、武豊の選択は外。
1番枠から出るキタサンブラックの武豊は、それでもあえて内ラチの近くを走るのか。それとも、思い切ってラチから離れたところに誘導するのか……と注目していたら、迷わず後者を選択した。
「いいスタートを切って、他馬がハナを主張しなければ行こうと思っていたら、そうなりました。先手をとった時点で自分でコースを選べるので、芝の状態、距離などを考えてベストなコースを通ったつもりです」
ゲートからの5、6完歩でやや外に出し、1、2コーナーではラチに近づきすぎず、離れすぎず、というところを通りながら折り合いをつけた。