岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
岩渕健輔がジョセフ体制初陣を語る。
経験値や連係より、まずフィジカル!
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph byAFLO
posted2016/11/17 11:30
ジェイミー・ジョセフ監督はスーパーラグビー優勝経験を持つ、まぎれも無い世界のトップ監督。3年後に向けてどんな策を用意しているのだろう。
フィジカルの競い合いこそがラグビーのベース。
ただし、私自身はキャップ数(経験値)の少なさが、アルゼンチンとの差を生んだというような捉え方は、すべきでないと思っています。今後試合を重ねていけば、たしかにキャップ数は増えていくでしょう。しかし世界の強豪も同じように経験を積んでいるので、差を縮めるための決定打にはならないからです。
それを考えれば、アルゼンチン戦はキャップ数云々ではなく、むしろ日本代表として出場した選手たちが、単純にいいパフォーマンスができていたか否かという視点で評価されなければなりません。
では、日本代表はいいパフォーマンスができていたでしょうか?
選手個々に関しては、しっかりとしたパフォーマンスを発揮できた選手もいましたし、課題が明らかになった選手の姿も見受けられました。
ただしチーム全体としてみるならば、ベーシックなフィジカルの競い合い、たとえば相手とスクラムで押し合う、1対1でボールを奪い合うといった局面で、劣勢を強いられるケースが目立ちました。この点は、今後にむけて絶対にクリアしていかなければならない課題です。
戦術や戦略で戦うには、フィジカルの土台が不可欠。
そもそも日本代表が南アフリカ戦で世界を驚かせたのは、まずは根本的なところで相手に押し負けたり、スタミナ勝負で負けたりしないように、選手のフィジカルを鍛え上げたことによるものでした。こういう土台がなければ、戦術や戦略を駆使する以前に、相手に圧倒されてしまうからです。
従ってアルゼンチン戦に関しても、戦術や戦略で勝負するというところまで持ち込めていたのかを、きちんと検証しなければなりません。
今回行われている一連のテストマッチに向け、新ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフは、キックをもっと有効に使うことと、アンストラクチャード(流動的なオープンプレー)の状況を作り出して、そこから仕掛けていくことの2つを大きな目標に掲げています。このようなテーマを結実させるためにこそ、自分たちの拠り所を再確認していく作業は不可欠でしょう。