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ソフトバンク飯田コーチの“大異動”。
守備走塁から打撃、その意図とは? 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/11/11 07:00

ソフトバンク飯田コーチの“大異動”。守備走塁から打撃、その意図とは?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

守備走塁コーチ時代に内川と“アゴタッチ”する飯田氏。ID野球で培った小技を若鷹に注入する。

若手もスイングはとても強く、鋭いのだが……。

 だからホークスの若い打者たちはスイングが強くて、とても鋭い。二軍のウエスタン・リーグの打撃成績表の上位は毎年のように若鷹勢で占められる。今年の首位打者は塚田正義(シーズン124安打でリーグ新も樹立)。前年は上林誠知、前々年は牧原大成の名前があった。本塁打でも、江川智晃と猪本健太郎(今オフ戦力外)は毎年2桁本塁打を放つランキング上位常連組である。

 しかし、悲しいかな、彼らは打率3割、本塁打30本を打つどころか、一軍に定着することすら出来ていない。

 チームの中心打者になれる選手はほんのひと握りだ。また、野球とは面白いもので、強打者ばかりが9人並んでも勝てないスポーツであることは皆分かっている。

 野球は確率のスポーツである。打率3割ということは、10回中7回は失敗するわけだし、本塁打など滅多に出るものではない。数少ない成功の確率を高める努力は当然必要なことだが、逆に数多の失敗をどれだけ意義あるものにするのかも大事。ただの真っ向勝負以外にも、勝利の秘訣がいくらでもあるわけだ。

「バッターってそれぞれに役割分担があると思う」

「ホークスはノーアウト二塁から点を取るのが上手くないチームだなと感じました。野球は1アウト三塁を作れば、得点の確率がぐんと上がるスポーツです。なのに、簡単に打ち上げてしまい走者を進められない。今年もそんな場面が何度かありました」

 飯田コーチは今季、一軍で三塁ベースコーチも務めていた。中軸や長距離砲でもない打者が、とにかく強振してヒットや長打を狙いに行くことに疑問を抱いていた。

「バッターってそれぞれに役割分担があると思うんです。僕がヤクルトにいた頃はクリーンナップに池山(隆寛)さんや広澤(克実)がいてね。僕はつなぎ役。自己犠牲の精神なんですよ。自分がアウトになっても、どうやってチャンスを広げるか。ピッチャーにどれだけ球数を投げさせて、相手に嫌がられるか。そればかりを考えていました」

 ホークスの場合は特に敵チームからのマークが厳しいためにエース級を当てられることが多い。ピッチャーが良ければ、どんな好打者でもそう簡単に打てるものではない。特に厄介なのは短期決戦だ。ホークスは短期決戦やシーズン終盤の大一番に弱いというイメージもあるが、はたして無関係だといえるだろうか。

【次ページ】 スラッガーを育てる気風は残しつつ、小技を磨く。

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