スポーツのお値段BACK NUMBER
法大体育会施設はJトップクラブ以上。
大学スポーツが持つ潜在能力とは。
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph byTsukuru Asada
posted2016/10/27 16:30
都市開発が進む武蔵小杉駅から徒歩圏内。法大川崎総合グラウンドはプロでもそうそうお目にかかれない絶好の立地条件にある。
体育会関係者は、ほぼポテンシャルに気づいてない。
意見交換をさせていただくなかで、安田監督が経営者的な視点から大学運動部を見ていることが印象的でした。安田監督は言います。
「今、法政大学の純資産は約1800億円ありますが、その数字自体は以前からある程度は把握していました。一方で、僕は15歳からここに通っていて、こういう施設が整っているのはもう当たり前の光景だった。要は、純資産の大きさと立派な練習施設は別々の事柄として認識されていて、つながっていなかったんです。それが監督になって2週間ぐらい経った時にはじめてくっついた。これだけの資産をうまく活用すれば、大学スポーツはもっともっと発展させることができます。でもおそらく、大学の体育会関係者のほとんどの方は、そのポテンシャルに気づいてないんじゃないかな、という気はしていますね」
アメフト部が大学自体の価値を高めるような存在に。
1800億円の純資産は、分かりやすくいえば大企業並みです。慶應大学は4000億円、東京大学にいたっては1兆円の純資産があるといいます。その巨大な資産が投資されるようになれば、スポーツは新たな価値を提供できるようになる。そのためにも「大学にスポーツのもつ発信力にまずは気づいてもらうのが、僕らの仕事」と安田さんは言います。
「これまでのアメフト部は大学自体とちょっと距離を置いたような存在になっていました。でも僕らは、アメフト部は大学のものです、大学の目的を実現するために頑張るんですということをきちんと自分たちで言うようにしています。それから、僕が監督になってから練習用のTシャツを新しく揃えて、必ずみんな同じものを着用させるようにしました。アメリカの大学、つまりNCAA(全米大学体育協会)と同等のクオリティで、ひと目でカッコいいと思われるプロのようなチームをつくっていく。そうやってアメフト部が法政大学自体の価値を高められるような存在になりたいと思いますし、その結果、頭打ちと言われている入学志願者数を増やすようなところにまで貢献できたらいいですよね」