スポーツのお値段BACK NUMBER
法大体育会施設はJトップクラブ以上。
大学スポーツが持つ潜在能力とは。
posted2016/10/27 16:30
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph by
Tsukuru Asada
約1800億円
(法政大学の純資産)
先日、武蔵小杉にある法政大学川崎総合グラウンドを訪ねる機会がありました。東京都世田谷区、大田区と多摩川を隔てた武蔵小杉(神奈川県川崎市)は近年、「住みたい街」として人気が高く、駅の周辺に大規模なマンションが林立するエリアです。
ここはもともと同大予科(教養課程)が置かれていた場所で、市ヶ谷キャンパスへの移転に伴い、付属校(法政第二中・高等学校)と体育会施設の用地として利用されることになったといいます。
初めて足を踏み入れてみて、とにかく驚かされました。
敷地は広大で、法政二中高は真新しい校舎が完成したばかり。スポーツ関連施設も含め、その充実ぶりは圧巻の一言で、建設費はゆうに100億円を超えるとみられます。比較対象として適切かはさておき、これはガンバ大阪のホームスタジアムとして新たに使用されている「吹田スタジアム」(建設費約140億円)と同等の予算規模。Jリーグのトップクラブが寄付を募って必死でかき集めた資金を、学校側は自前で準備できたことになります。
Jリーグのクラブチームの練習施設よりも豪華。
隣接する法大体育会の施設は、野球部やアメリカンフットボール部などの練習拠点となっています。ナイター設備を備えた人工芝のグラウンドが広がり、室内野球練習場やテニスコート、ホッケー場のほか、トレーニングルームなどを備えた保健体育棟という立派な建物もあります。
私は湘南ベルマーレの経営に取締役として関わったのち、今年3月からJリーグの理事を務めさせていただいています。そうした活動を通して様々なプロクラブチームの練習施設を視察してきましたが、眼前に広がる法大体育会の豪華施設は、Jリーグのトップクラブ以上と言っても過言ではないと感じました。
私がここを訪れたのは、大学日本一5回の名門、法大アメフト部「トマホークス」の新監督に就任した安田秀一氏にお会いするためでした。ご存じの方も多いかと思いますが、安田監督は「アンダーアーマー」日本総代理店、株式会社ドームの代表取締役CEOを務めておられます。不適切な資金管理などが発覚した前監督の解任を受け、同部OBであり、学生時代には主将も務めた安田氏が抜本改革を掲げて新監督に就いたのです。