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巨人、阪神だって決して悪くない!
全球団が60点以上の豊作ドラフト。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byKyodo News

posted2016/10/21 20:00

巨人、阪神だって決して悪くない!全球団が60点以上の豊作ドラフト。<Number Web> photograph by Kyodo News

一時は12球団指名も、と騒がれた田中正義はソフトバンクへ。昨年の高橋純平に続き工藤監督がくじ運の強さを発揮した。

高校卒の本格派を育てた歴史がある西武は今年も。

< 西武 80点 >

1位入札(単独)→今井達也(作新学院・投手)
2位 中塚駿太(白鴎大・投手)、3位 源田壮亮(トヨタ自動車・内野手)、4位 鈴木将平(静岡・外野手)、5位 平井克典(Honda鈴鹿・投手)、6位 田村伊知郎(立教大・投手)

 ドラフト前は田中正義への入札が予想されていたが、夏の甲子園優勝投手・今井達也を選択した。古くは稲尾和久、池永正明、東尾修、近年では松坂大輔(現ソフトバンク)、涌井秀章(現ロッテ)、菊池雄星、高橋光成と高校卒の本格派がチームを牽引した歴史がある。私は田中よりも今井のほうが西武らしい指名だと思った。2位で未完の大器、中塚駿太を指名したのも頷ける。即戦力候補はほしいが、上位チームの日本ハム、ソフトバンクを上回るにはスケールもほしい。そういう思いが濃厚に伝わってくる。

 3位の源田壮亮は守備名人。都市対抗で9番を打っていたように「打つ人」ではない。柔らかいフィールディングと全打席全力疾走に象徴される“自己犠牲的”精神に富んだバイプレーヤーで、現チームのレギュラー候補、呉念庭、外崎修汰、永江恭平にはない個性を持っている。

 4位鈴木将平は2年春、選抜大会で木更津総合のエース早川隆久と対戦したときの姿が印象に残っている。プロ志望届を提出していれば間違いなく3位以内に指名されたであろう好左腕から2打数2安打、四球2、死球1と出塁率10割を記録。2本の安打のときの一塁到達が4.28秒、4.26秒と速く、どこをとっても文句なし。甲子園は1年夏、2年春・夏の3回出場し、この選手がプロで活躍しない姿が想像できなかった。よく4位で指名できたと思う。

< オリックス 80点 >

1位入札(単独)→山岡泰輔(東京ガス・投手)
2位 黒木優太(立正大・投手)、3位 岡崎大輔(花咲徳栄・内野手)、4位 山本由伸(都城・投手)、5位 小林慶祐(日本生命・投手)、6位 山崎颯一郎(敦賀気比・投手)、7位 飯田大祐(Honda鈴鹿・捕手)、8位 澤田圭佑(立教大・投手)、9位 根本薫(霞ケ浦・外野手)

 2013年以来、育成を除くドラフトで12球団中最多の27人を指名してきた。チームを作り替えたい、という意欲の表れだろう。その3年間、1位は単独指名だった。それ以前の3年間は、2010年=大石達也、伊志嶺翔大、山田哲人、2011年=高橋周平、2012年=藤浪晋太郎、松永昂大とすべて抽選負け。3年で6回の抽選負け(全敗)は珍しく、それでも駿太、安達了一、松葉貴大を獲得しているのだからスカウト陣は頑張っている。

 今年も、1位は山岡泰輔を単独指名した。さらに2位で黒木を指名。この2人は完全に先発型の即戦力である。抑えの平野佳寿、中継ぎの佐藤達也、塚原頌平、先発は金子千尋、西勇輝、ディクソン、松葉貴大と現在のリリーフの顔ぶれは悪くなく、打線も糸井嘉男、T-岡田、安達、西野真弘に、シーズン後半に頭角を現した吉田正尚、若月健矢と並び、若手の園部聡、大城滉二も控えている。投打に悪い要素はないのに、ただ層が薄い。そういう状況の中で確実に使える2人を上位で指名したのだから評価できる。

 5位小林慶祐、8位澤田圭佑も即戦力候補。小林は187cmの長身から投げ下ろすストレートが東京情報大時代から定評があり、社会人になって低めにコントロールされるようになった。澤田は大阪桐蔭時代の恩師、西谷浩一監督が「澤田はプロではリリーフで成功すると思う」と言った言葉が耳に残る。ちょっと太り気味なので5キロダイエットしてほしい。

【次ページ】 防御率リーグ最下位のヤクルトは投手5人捕手1人。

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