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大谷翔平とベーブ・ルースの4年間。
投打の数字比較から未来を想像する。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byNanae Suzuki
posted2016/10/17 07:00
CSファイナルステージ第1戦ではDHを解除して「8番・投手」として投打に勝利に貢献した。
投手ルースが「打たせて取る」タイプという意外性。
ルースは最初の4年間で121試合に登板して75完投(16完封)と、今では信じられないような登板数と完投を記録している。それは当時の野球界が“投手分業制”の今とは大きく違っていたからで、それらの成績は比較の対象にすらならない。従ってルースの最初の4年通算67勝34敗という好成績も、大谷の最初の4年通算39勝13敗と比較するつもりはない。
注目したいのは“足し算”ではなく“割り算”で計算する成績だ。
最初の4年に限って言えば、防御率、9イニングあたりの被安打率、1イニングあたりの被安打と与四球の合計などはすべて、大谷がルースを上回っている。それらが1試合や1イニングに示される投手の力量を表わすものだと断定することには賛否両論あるだろうが、100年近くもある両者の世代の違いを考えれば、大谷がほとんどの部門でルースを上回っているというのは驚くべき事実だろう。
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また興味深いのは、打者ルースが豪快な本塁打のイメージがあるのに対し、奪三振率の低さから投手ルースが打たせて取るタイプの投手だったという事実だ。
ルースはその巧みな投球術で1918年、29回3分の2連続無失点というワールドシリーズ記録を作っている。これは1961年にヤンキースのフォード投手によって破られるまで40年以上も残っていたメジャーリーグ記録であり、バリー・ボンズやハンク・アーロンに抜かれた通算本塁打記録同様、今も色褪せぬ好記録だと言える。
打者成績の比較も実に興味深い。
打者ルースと大谷はどうか。
<打者成績の比較>
●ベーブ・ルース
1年目(1914)19歳 5試合 打率.200 安打2 本塁打0 打点0 出塁率.200
2年目(1915)20歳 42試合 打率.315 安打29 本塁打4 打点20 出塁率.376
3年目(1916)21歳 67試合 打率.272 安打37 本塁打3 打点16 出塁率.322
4年目(1917)22歳 52試合 打率.325 安打40 本塁打2 打点14 出塁率.385
●大谷翔平
1年目(2013)19歳 77試合 打率.238 安打45 本塁打3 打点20 出塁率.284
2年目(2014)20歳 87試合 打率.274 安打58 本塁打10 打点31 出塁率.338
3年目(2015)21歳 70試合 打率.202 安打22 本塁打5 打点17 出塁率.252
4年目(2016)22歳 104試合 打率.322 安打104 本塁打22 打点67 出塁率.416
ルース4年通算 166試合 打率.299 安打108 本塁打9 打点50 出塁率.321
大谷4年通算 338試合 打率.275 安打229 本塁打40 打点135 出塁率.347