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大谷翔平とベーブ・ルースの4年間。
投打の数字比較から未来を想像する。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byNanae Suzuki
posted2016/10/17 07:00
CSファイナルステージ第1戦ではDHを解除して「8番・投手」として投打に勝利に貢献した。
世代も国も違う2人の選手が、似た数字を残している。
投手成績とは対照的に、打者大谷は本塁打や打点などの“足し算”部門でルースの上を行き、打率や出塁率などの“割り算”部門では拮抗している。そこはあえて分析しないが、世代も国も違う2人の才能ある野球選手が同じような数字を残していることだけは確かだ。
ルースはメジャー5年目、23歳の時に11本塁打、24歳で29本塁打、25歳で54本塁打、そして26歳で59本塁打(これもまた奇遇なことに1961年、同じヤンキースのマリス外野手が破っている)と次々とメジャー記録を更新した。
ルースの現役時代と現在とは野球の質も周囲を取り巻く環境も違うので、大谷にルースの記録を破ることを期待するのはフェアではないが、大谷がこのまま日本のプロ野球に残っても、いつの日にかメジャーリーグに移籍しても、大きな怪我なく現役時代を送ることさえできれば、素晴らしい未来が待っているのではないかと思う。
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ちなみにルースは1915年、初めてのポストシーズン(当時はワールドシリーズのみ)で1打席のみの出場に終わったが、翌1916年の初めてのポストシーズン登板では延長14回を完投し、6安打1失点で勝利投手になってレッドソックスのワールドシリーズ制覇に貢献した。
42のアウトの内訳は、ゴロが25(ダブルプレー1)、フライが10、そして三振がわずか4と、やはり打たせて取るタイプの投手だったことを証明している。
果たして大谷は、これからどんなピッチングをして、どんなバッティングを見せてくれるのか。
投打ともに圧倒的な力を見せつければ、天国で眠るベーブ・ルースにも「極東の島国にスゴイ二刀流選手がいる」というニュースが届くかも知れない――。