サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
清武弘嗣が乗り越えたハリルの規律。
自由さで示した“攻撃の道筋”とは。
posted2016/10/14 11:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Takuya Sugiyama
この夏スペインのセビージャへ移籍した清武。開幕戦こそ1ゴール1アシストと活躍したものの、元フランス代表のサミル・ナスリをはじめ、ビッグネームの選手たちが揃うチームで、厳しい競争にさらされている。代表ウィーク前の10月1日のリーグ戦ではベンチ外。試合が行われた日には、日本へ向かう飛行機に乗り込んでいた。
Jリーグに留まらず、ニュルンベルク、ハノーファーとドイツへ来てからも、清武は常にチームの中心選手として輝いてきた。昨季はハノーファーで背番号10を担い、「僕にとっての10番像はチームを勝たせる選手。それはパスだけでなく、FKでもそうだし、とにかくチームを勝利に導くのが10番だと思う。そういう10番になりたい」と話していた。しかし、クラブは2部へ降格。10番としての仕事ができなかった。
セビージャでの競争は想像を越える厳しさ。
ヨーロッパリーグ3連覇のセビージャからの獲得オファーを、清武は迷うことなく受け入れた。過去スペインリーグへ挑戦する日本人もいたが、そこで活躍した選手は少ない。「レギュラー争いをやってみたい」と清武は、厳しい競争を承知でセビージャへと飛び込んだ。
ライバルたちのレベルの高さに圧倒されることもあっただろうが、自信を失うこともなかった。逆にここでもやっていけるという強い手ごたえを感じていたのかもしれない。しかし、9月の代表ウィークをはさみ、徐々に出場時間が減っていった。リーグ戦でもチャンピオンズリーグでもベンチスタートが続き、とうとうベンチ外に。
「清武もナスリと競争しなければいけない。CLに出ているような強豪クラブで、彼らは競争している」と9月29日のメンバー発表会見でハリルホジッチ監督は語っている。清武に限らず、香川や本田、岡崎、長友など、欧州組の名をあげて「狂ったように競争しなければならないし、狂ったようにトレーニングしないといけない」とも話した。
長谷部も所属するフランクフルトで「チーム内の競争という感覚はあるけれど、ドルトムントとかレスターとか、セビージャとか、そういうところの競争とは全然違う」と語っている。