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岡崎慎司に代表でも主張して欲しい。
「俺のスペースを消すな」で得点を。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/09/11 11:00
両サイドのウイングが中へ入り、ボランチも前に出てくる状態で、岡崎慎司のスペースはどんどん狭くなっている。
何を言われても笑って受け入れたドイツ時代。
連携を深め、得点を決めるためにやるべきことは何か? レスターでの経験のなかにヒントを見つけた。
絶対的なエース、バーディーが存在するレスターで、岡崎は周囲に対して厳しい要求をし、感情をぶつけ、あえて強いリアクションを見せるようになった。何を言われても笑ってすべてを受け入ようとしていたドイツ時代から、考え方を変えたのだ。それでも、自己主張の強い選手たちが簡単に岡崎にシュートチャンスを提供してはくれなかったが、この思考の変化が、ひとつの壁を乗り越えるきっかけになった。
「FWはある意味、チームのことを考えなくてもいい」
「お前のパスが弱すぎたんだよ!」
1月23日ストーク戦。負傷交代の際、岡崎はタッチ際付近でマフレズにそう怒鳴った。岡崎の距離感のせいでパスが通らなかった、というマフレズの主張を退けたのだ。その直後の取材で次のように語っている。
「FWは特別なポジション。ある意味、一番チームのことを考えなくてもいいポジションなんです。周りに気を使わせるくらいの存在にならなくちゃいけないと思う。点取り屋は『ここに出してくれたら、絶対に点を取ってやるから』くらいの自信を持っている。意見を言えるということは、自信があるということ。自分は『どうして俺を使わないんだ』と抗議するようなタイプじゃないけれど、心の中ではそれくらいの気持ちを持っていないと、こっちではやっていけないし、もうひとつ上へはいけない。謙虚さも大切だけど、逆にむき出しの闘争心みたいなものを出し、若手よりも誰よりもガムシャラに貪欲にやっていきたい。だから今年(2016年)のテーマは“貪欲”なんです」
ならば、日本代表でも、もっと周囲に要求をぶつけても良いのではないだろうか?
ゴールを仕留めるためには、自身の技術を高めることも必要だが、その環境を作ることも重要だ。非公開練習の様子はわからない。しかし岡崎に限らず、日本代表で試合中に選手同士が怒鳴り合うようなシーンはほとんど見られない。