サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
岡崎慎司に代表でも主張して欲しい。
「俺のスペースを消すな」で得点を。
posted2016/09/11 11:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Takuya Sugiyama
「今ある自分たちの課題が思いっきり出た」
W杯アジア最終予選初戦のUAE戦をそう表現するのは岡崎慎司だ。
先制点を決めながら、追いつかれ、しかも逆転を許す。ホームでの思わぬ展開。精神的な余裕が日本にはなかった。そのうえ日本の攻撃陣は中央に集まり過ぎ、攻撃に幅を生み出せなかった。サイドのスペースを有効利用する物理的な幅だけでなく、攻撃のバリエーションという幅もない。守る相手にとっては、守りやすい状況にもなった。シュートチャンスがあっても得点には繋がらない。岡崎は「みんなで攻めるしかないという手段」がチームの課題だと話している。
「相手に読まれるような攻撃をしていても、ゴールにはならない。決めきれないから人数をかけようとするし、焦ってしまう部分もあった。人がいるのにセカンドボールも拾えず、カウンター攻撃を受けてしまう。そうするとさらに焦る。(香川)真司や僕の動くスペースがなく、ある意味渋滞みたいになっていた。そういう意味ではお互いがストレスを感じていたと思う。サイドを活かすとか、もっと狙いを持った戦い方をする必要があった」
「レスターでは、もはや点取り屋じゃない」
中心選手の多くは長年ともにプレーしてきたはずだが、連動や連係を深めるには、「改善しながら、続けていくしかない」という。2-0で勝利したタイ戦でも、大きな改善が見られなかった。
「自分たちで試合をコントロールできない時間帯もあったし、90分間のなかでバランスを大きく崩す場面もあった。もっと強い相手と戦うことを考えると、チームとして仕上がっていないといけない。これは選手ひとりを代えて、解決できる問題じゃない。チームとして全員でこの問題に取り組んでいかなければならない」
プレミアリーグ優勝と果したレスターでの岡崎は、好守にわたる汗かき役として評価され、先発の座を手にした。そこで求められているのは、フィニッシャーの仕事ではない。
「レスターでは、もはや点取り屋じゃない。チーム内での認識は汗かき役。だけど、『こいつ、シュート、ゴールに対してのアプローチが変わったな』と思ってもらえるようにしたい」
岡崎自身は、現状に満足しているわけではない。試合に出るために必要なつなぎ役や守備をしたうえで、ゴールも決めるという挑戦を続けている。
得点という結果こそが、ストライカーとしての揺るがない評価に繋がるからだ。