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“野手脳”高橋由伸監督に、
巨人・堤辰佳GMから愛の手を!!
posted2016/09/10 11:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
「バッターの一貫したミッションは、相手の先発投手にできるだけ球数を投げさせることなんです」
先日、ある日本ハム関係者との話が印象に残っている。
「これは先発投手に対してだけ。後から出てくるリリーフ投手の球数は関係ないですから。その代わり先発に対してはチーム方針として、どんな試合でも徹底してやっています」
相手の先発投手には序盤からとにかく球数を投げさせて、消耗させる。そうすれば中盤以降に打ち崩す糸口が出てくるかもしれないし、打てないとしても1回でも早くマウンドから引きずり下ろすことにはつながる。それもまた相手投手を攻略することに変わりはないという発想だ。
だから日本ハムでは中島卓也のような、とにかく粘って、粘って投手に球数を投げさせる打者(もちろん中島の評価は粘ることだけではなく走力もあり、守備力も高いこともあるわけだが……)の評価は高く、レギュラーポジションが与えられるのである。
先発投手がどういうことをしたら嫌がるのか? 自分が投手や捕手として、こういうことをやられたら嫌だ、ということを積み重ねて攻略の道を見出していく。これは投手や捕手出身の監督に多く見られる思考である。
いうならば投手脳、捕手脳からくる野球の戦略というわけだ。
この考え方を一般的に広めたのは、捕手出身でID野球を標榜したヤクルト時代の野村克也元監督だった。
高橋由伸の投手攻略法が垣間見れたコメント。
日本ハムの栗山英樹監督は、自身は外野手出身だがヤクルト時代に野村野球の強い影響を受けて育っている。その結果、ある部分でこういう捕手脳を持つことも納得できる。
一方、投手を打ち崩すためには別の発想もある。
「見ていけばいいというものでもないですから。やっぱり甘い球はそうは来ない。それを逃さずに打ちにいかないと、いい投手はなかなか打ち崩せない」
これは8月23日の巨人対広島戦後の巨人・高橋由伸監督のコメントである。